パウロ・ゲデス経済相が来週にも提出する予定の税制改革法案は、所得税・法人税改革、小切手税(CPMF)復活、消費やサービスを受けた際の諸税の一元化の3項目が中心となる模様だと、9日付現地各紙が報じている。
また、所得再配分の観点から効果的でないとして、医療費、教育費を所得控除の対象から外すことも検討している。この措置は、現在27・5%の最高所得税率引き下げの埋め合わせとして行われる。
こうした税制改革案の試案は、8日にサンパウロ市で行われたBTGパクチュアル銀行主催のイベントの場で、マルコス・シントラ国税庁長官とゲデス経済相によって公開された。
ゲデス経済相は「今は所得税申告期になると、みんながこぞって病院の領収書、歯医者の領収書をかき集める。低所得者はもともと無料の医療機関しか使わないから、所得控除を受けられない。現在のシステムは所得再配分の観点から見て不十分だ。医療、教育の所得控除をなくし、所得税率を全体的に下げた方が良い」と語った。
経済省によると、医療費として所得控除が認められた総額は、最新の2017年のデータで150億レアルに上る。
シントラ長官は、「所得税率表(タベーラ)の改定は、インフレの進行と共に行われているが、そのペースはとても遅い」としている。
現在、月収が1903・98レ以下の労働者は所得税が免除される。インフレ調整のため、一般労働者の賃金は額面上は毎年数%上昇するものの、所得税免税のラインはインフレペースでは上がっていない。そのため、多くの人が毎年、免税ラインを超え、課税される側に回るという、実質増税の状況が続いていた。政府は今後はタベーラをインフレに合わせて改定することを検討している。
法人税に関しても、仕組みを簡素化して、減税する意向だ。
シントラ長官は、「労働市場は変化しており、企業が払う給与所得だけを課税の根拠、課税額決定要素とすることには無理が生じている。将来的に社会保障費を支えきれない」と語り、現在は非課税の株式配当金への課税やCPMFの復活に理解を求めた。
CPMFは1997年から2007年まで課されており、預金の振込みや現金引き出しなど、全ての動きに税金がかかっていた。撤廃時の課税率は0・38%だった。
また、社会統合基金(PIS)、社会保険融資納付金(Cofin)、工業製品税(IPI)、金融取引税(IOF)の一部を廃止し、連邦付加価値税(IVA)に一元化することも検討されている。