ブラジル中銀は12日、6月の経済活動指数(IBC―Br)が前月比では0・3%のプラス、前年6月比では1・75%のマイナスだったと発表。また、4~6月の第2四半期は、第1四半期比マイナス0・13%だったと、12日付現地紙サイトが報じた。
中銀のIBC―Brは、地理統計院(IBGE)が出す国内総生産(GDP)に先行して出される、GDP動向の先読み指標だ。5月15日に出た第1四半期のIBC―Brはマイナス0・68%で、5月末に出たGDPはマイナス0・2%だった。
IBC―Brは農牧業、工業、サービス業、税収の4項目だけで算出されるため、家庭消費や投資なども含めて算出されるGDPと同じ数値が出るとは限らない。だが、IBGEが29日に出す予定のGDPがマイナスになると、「2四半期連続のGDPマイナス成長」となり、景気後退の定義に当てはまる。
ブラジルでは、2014年第3四半期から2016年末まで、10四半期、2年半連続でGDPのマイナス成長が続いた。2017年からはプラスに転じたが、14~16年に記録したマイナス分を埋め合わせるには至っていない。
ただし、IBGEは、仮に2四半期連続でGDPがマイナスとなったとしても、失業や倒産の急増や、生産量や消費量の急減などがない限り、短期間で回復する可能性のある、「名目上の」景気後退だとしている。
昨年第4四半期との比較ではマイナスだった今年第1四半期のIBC―Brを、昨年第2四半期のIBC―Brと比較すると、0・85%増加している。昨年第3、第4四半期でのプラス分が大きかった分、それらと比較してマイナスでも、1年周期で見ればまだプラスと見ることも出来る。昨年7月~今年6月までの12カ月間分の累積IBC―Brも、一昨年7月~昨年6月までの累積より1・08%大きい。
第2四半期のマイナスは、ある程度予想されていた。10日付エスタード紙が既に、第2四半期のサービス業はマイナス0・6%、工業はマイナス0・7%、小売り業もマイナス0・3%と、軒並み、前期比マイナスと報じていたからだ。
今年第1四半期のGDPはマイナス0・2%の上、今月末に出る第2四半期のGDPもマイナスになる可能性が指摘されているが、中銀は今年のGDP成長率をプラス0・8%と予想している。中銀が民間の金融機関対象に行うンケート調査で12日発表の最新版フォーカスでは、今年のGDP成長率はプラス0・81%予想だった。
ボルソナロ政権は景気回復、雇用促進を最優先課題に掲げており、社会保障制度改革と税制改革により、国家財政の健全化と国外投資資金の呼び込みを果たそうとしている。だが、社会保障制度改革は上院審議が残っており、税制改革は法案提出にも至っていない。