【既報関連】アルゼンチンで11日に行われた大統領選の予備選挙で、左派のアルベルト・フェルナンデス氏が47・66%を得票し、32・08%だった現職右派のマウリシオ・マクリ大統領に大差をつけたことで、12日のアルゼンチン市場は大荒れとなり、その影響でブラジルの金融市場も大きく動いた。13日付ブラジル各紙が報じている。
市場はマクリ大統領の苦戦を予想してはいたが、敗れたとしても3~5%ポイント以内の差だろうと見ていた。ところが、47・6対32・0と、15%ポイント以上の差が付いた。「逆転はほぼ不可能。1回目の投票で過半数獲得も―」と各紙が分析するほどだ。
12日の為替市場は、アルゼンチンペソに対して米ドルが急騰。1ドル=45・3ペソで始まった為替市場は、一時、1ドル=60ペソのラインも上回った。慌てたアルゼンチン中銀が政策金利を64%から74%へ引き上げたものの、結局その日の市場は1ドル=53ペソと、16・9%のドル高で終了した。アルゼンチンの株式指数メルバルも、37・9%下落した。
ブラジルでも同日は、サンパウロ市株式市場指数(Ibovespa)が2%下落の10万1900ポイントで終了。米ドルもレアルに対して1・09%上昇し、1ドル=3・98レアルで取引を終えた。
アルゼンチンもブラジルと同様に、正、副大統領候補のコンビ(シャッパ)で立候補する。左派のアルベルト・フェルナンデス、クリスティーナ・キルチネルのシャッパが大優勢と出たことで、現マクリ政権の自由主義経済政策が方向転換し、国際通貨基金(IMF)との合意も見直される可能性が高まった。アルゼンチン経済にとっては確実にネガティブ要因と市場は解釈し、12日の動きに繋がったと、ブラジルの経済専門家筋は見ている。
左派に対してアレルギーとも言える嫌悪感を持つ、ブラジルのボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)は12日、予備選挙の結果を受け、「誰だって、もちろん私だって、アルゼンチンとの協力関係を絶ちたくはない。しかし、優勢を伝えられる候補者は、『南米共同市場(メルコスール)合意を見直す』意向らしい。これは厄介だ」と語った。同大統領からはまた、「左翼の奴らがアルゼンチンの実権を握ったら、リオ・グランデ・ド・スル州は、第2のロライマ州になってしまう」との放言も飛び出した。
10月末の大統領選本選に向けて、マクリ大統領への援護射撃を行う意思があるかと問われたボルソナロ大統領は、「マクリを助けるとか助けないとか、そういう問題じゃない。アルゼンチンは為替も株も金利も一夜でメチャクチャ。親愛なる隣国に、ベネズエラのようになって欲しくない」と語るにとどめた。