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今日は喜んでも明日は泣く?

 13日付エスタード紙に、「今日喜んでいる農業生産者は、明日泣く事になる」という題の記事が出た▼ブラジル農牧業連合元会長で、元農務大臣のカチア・アブレウ上議の言葉だ。下議時代のアブレウ氏は農地開発を積極支援し、環境保護には反対の立場だった。故に、農牧業や鉱業発展のためにアマゾンや先住民保護区の開発を容認するボルソナロ政権の政策には賛同かと思われていた▼だが、現在のアブレウ氏の主張は正反対で、「森林伐採などにも関係してきたのに、上院ではアマゾン保護を訴えている。何が変わったのか」と訊かれ、「かつての私は視野が狭く、ブラジルの農業を破壊するような政策を支援し、森林なども破壊してきた」と答えた。だが、今は開眼し、アマゾンが南部や中西部の雨を保障する役目を果たしている事や、水源地保護の重要性を理解したという▼その上で、現政権の環境政策や開発政策は、技術向上や持続性を無視した反市場的なものと指摘。農業生産者は雨の降り方や雨量、気温、川の水量が変化した事などに気づいているとし、「大統領は環境の事や農業は腹を満たすだけのものではない事を知るべき」と語った▼その上で出てきた言葉が「今日喜んでいる農業生産者は、明日泣く事になる」だ。しかも、喜んでいるのは農牧生産者だけで、種や苗の育成者や加工業者、販売や輸送の担当者は、ブラジルの環境・農業政策に反対する欧州などの市場を失う事を恐れているという。そうなれば、当然、生産者もいつか泣く事になる。農牧族議員の代表格の上議が自ら「進化」という変化を遂げた後の意見を、大統領や現政権がどう受け止め、いつ、どう変わるかを見届けたい。(み)