15日、ノルウェーが法定アマゾン保護のための「アマゾン基金」への資金1億3300万レアル分の援助を差し止めると発表した。10日にはもうひとつの資金提供国のドイツも差し止めを発表しており、法定アマゾンの森林伐採が野放しになることなどが懸念されている。15、16日付ブラジル国内紙、サイトが報じている。
これは、15日にノルウェーのオラ・エルヴェストゥエン気候環境相が明らかにしたものだ。その理由は法定アマゾンでの森林伐採の増加で、同基金のブラジル側の窓口だったアマゾン基金運営委員会(COFA)とアマゾン基金技術委員会(CTFA)の二つを5月にボルソナロ政権が廃止したことは、ノルウェーやドイツとの間で結んだ合意の一方的破棄に当たるとの見解も示した。二つの委員会の廃止は、ノルウェーとドイツの両国にとって寝耳に水だった。
連邦政府はそれ以外の委員会も廃止しており、それに代わる委員会が作られたケースもあった。だが、アマゾン基金に関する委員会は復活しておらず、同基金の運営を法的かつ技術的に毎年行い得る環境が危うくなった上、森林伐採はこれまで以上のペースで進んでおり、ブラジルにはそれを抑制する意図はないと両国から判断された。
10日にはドイツが1億5千万レアルの資金援助凍結を発表しており、これに続いてノルウェーも今回の判断に至った。
過去10年間のアマゾン基金の93・8%はノルウェー、5・7%はドイツからの援助で、残る0・5%はペトロブラスからの資金だ。
両国からの支援カットで基金が枯渇すれば、法定アマゾンの森林伐採を監査する環境省傘下の国立再生可能天然資源・環境院(IBAMA)などの活動も窮地に追い込まれる。IBAMAは同基金から、2018年に4400万レアル、19年に4600万、20年に4800万レアルを受け取ることになっていた。
また、16日にアマゾニア人間・環境院(IMAZON)が発表した最新データによると、18年8月~19年7月の法定アマゾンの森林伐採は15%増加している。中でも、7月の森林伐採は前年同月比66%増の1287平方キロメートルで、1年間の伐採量の25%が7月に行われていたことになる。
ノルウェー側の資金差し止めを受け、ボルソナロ大統領は同日、「ノルウェーだってクジラを殺して油田開発を進めているじゃないか」と反論。「欧州がアマゾンの森林伐採に興味を持つのは、覇権を握りたいからだろう」とも語っている。