ボルソナロ大統領が15日に、セルジオ・モロ法相の管轄である連邦警察のリオ州長官の人事に介入、同州連警が騒動となった。また、大統領は長男のフラヴィオ上議と同氏のリオ州議時代の職員、ファブリシオ・ケイロス氏の疑惑を最初に指摘し、同じくモロ氏が力を入れていた金融活動管理審議会(COAF)の議長交代も望んでいるという。17日付現地紙などが報じている。
ボルソナロ大統領は15日朝、リカルド・サアジ連警リオ州長官を「運営のあり方と業績不振」を理由に更迭し、後任に、家族ぐるみで付き合いがあったアレッシャンドレ・シウヴァ・サライヴァ氏をつける意向を表明した。
だが、連警はこの発言に不快感を示し、翌16日、サアジ氏は以前から交代を願っていたとの説明と共に同氏の辞任を発表した。後任には、連警連邦長官の指名で、サアジ氏も希望したカルロス・エンリケ・オリヴェイラ氏が就任すると発表し、大統領の意向には従わなかった。これについて聞かれた大統領は、「全ての長を決める権利は自分にある」と語ったが、表面的にはモロ法相の進言を受け入れた。
この件で問題だったのは、連察を直接管轄するセルジオ・モロ法相の意向を飛び越え、大統領が自分の希望を通そうとしたことだ。
法相管轄下の連警の人事に口を挟んだのと同様の行為は2カ月ほど前から繰り返され、連警と共に「汚職撲滅の3本柱」とされる国税庁やCOAFにも及んでいる。これらの組織はいずれも、大統領の家族や親族に関わる捜査を行っている。
COAFは昨年12月に、ケイロス氏の口座にフラヴィオ氏元職員らからの謎の振込みが続き、その総計が120万レアルに至っていたと発表している。また、ケイロス氏とリオ市内の不祥事の多くに関与している「ミリシア」(民兵組織)とのつながりについては連警が捜査していた。
COAFの管轄は今年5月に経済省に移った。だが、モロ氏が法相に就任した1月は法務省の管轄下にあり、同省の売りの一つでもあった。議長もモロ氏が信頼を置くロベルト・レオネル氏だ。
だが、ボルソナロ氏は最近、COAFを「中央銀行の傘下に移したい」と言いはじめた。中銀では口座記録を追いかけることができても、犯罪を取り締まる機能はなく、資金洗浄などの違反を取り締まるCOAF本来の機能が発揮できるかが疑問視されている。
ボルソナロ氏は4日にパウロ・ゲデス経済相にレオネル氏の人事を白紙委任していたが、そこで異動が起きれば、軋轢が増すとみて、9日にCOAFを中銀の傘下に移すと言い出した。
レオネル氏はクリチバの国税庁で22年間勤務後、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)特捜部に組み込まれた。18日に報じられた「ヴァザ・ジャット」報道では、レオネル氏が2018年に法務省の許可なしにLJ特捜部に容疑者の会計情報を提供していたとの疑惑が報じられている。