【既報関連】税制改革を狙っているブラジル連邦政府の試案に含まれていると噂の金融取引暫定納付金(通称“小切手税”、CPMF)復活に、下院に議席を持つ30政党のリーダーの内15人が反対していると、20日付現地紙が報じた。
CPMFとは、銀行口座から別の銀行口座に振り込んだり、口座の資金を引き出したりする度に税金がかかるというもので、1997年~2007年に課されていたCPMFの税率は0・38%だった。
国税庁のマルコス・シントラ長官は、CPMFを復活させ、各企業が国家に納める社会保障費を減額(レオネラソン)することで生じる歳入減を埋め合わせる意向だ。
しかし、CPMF復活には15政党のリーダーが難色を示しており、賛成は、社会自由党(PSL)と、共産党(PCdoB)だけ。「決めかねている」が2政党、「返答できない」が11政党だった。
反対政党には、超党派のセントロンも含まれており、これらの政党の持っている議席だけで、下院の6割を超えている。
マルコス・シントラ長官が考える新規のCPMFでは、口座からの引き落とし、デビットカードやクレジットカードでの支払いだけではなく、口座への入金も含む、動いた金額全てに一定の税率をかけることを想定している。
同長官は、ネット決済が盛んな現代にあって、この新税は理想的と考えているが、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は難色を示している。税制改革の憲法改正案(PEC45/19)提出者で、民主運動(MDB)、進歩党(PP)、ブラジル労働党(PTB)からなる下院のブロックのリーダー、バレイア・ロッシ下議も、議長と同じ見解だ。
各企業は、従業員給与総額の20%を社会保障費として国に納めているが、現在練られている税制改革案での税率は0・4%となっている。政府は税収減覚悟で、正規雇用の促進を狙っている。
下院の税制改革案報告官アギナルド・リベイロ下議(進歩党・PP)は、税収減を埋め合わせるためのCPMFについて、「議題にすらあがらない」と語った。DEMの下院リーダー、エルマル・ナシメント下議も、「DEMの下議28人はいかなる税制論議も歓迎するが、新税だけは別」としている。
自由社会党(PSOL)リーダーのイヴァン・バレンテ下議も、「CPMFの影響は消費の冷え込みや景気低迷、雇用不振など、広範囲に及ぶ。一番割りを食うのは貧困層だ」と反対している。
数少ないCPMF賛成政党にして、ボルソナロ大統領も所属しているPSLのリーダー、デレガド・ヴァウジール下議は、「CPMFは企業活動をよりシンプルにさせる。我々は企業活動を簡素化する案に反対することはない」としている。