ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》森林火災=世界規模で深刻な報道=今年に入り7万4千件以上=「黒い雨」が降る異常事態=大統領の開き直り発言も問題に

《ブラジル》森林火災=世界規模で深刻な報道=今年に入り7万4千件以上=「黒い雨」が降る異常事態=大統領の開き直り発言も問題に

パラー州での森林火災の様子(Twitter dos Bombeiros do Pará)

 森林伐採後の焼畑増加などが原因のケイマーダ(森林火災)が、8月20日までに7万4千件を超え、その灰が原因と見られる「黒い雨」も降り始めたことで、国内外でアマゾンなどの森林伐採問題が深刻な話題となっている。また、この問題に関してボルソナロ大統領が21日に行った「火災を起こしているのは自然保護の非政府団体(NGO)」なる発言も問題視され、世界的に報道されている。22日付現地紙が報じている。

 ケイマーダに関する報道は8月に入ってから増加傾向にあったが、特に深刻化したのは19日、寒冷前線に伴う雨雲が垂れ込めたサンパウロ市やサントス市などで15時過ぎに上空が真っ暗になるという現象が生じ、黒く濁った雨が降ってからだ。水の濁りは、北部や中西部、パラグアイやボリビアでの森林火災の煙が原因とされている。
 それと並行し、焼畑を制御しきれず、環境保護区に広がるケースも増えている。先住民保護区や環境保護区への火災拡大は18~20日だけで68件起きている。
 国立宇宙研究所(INPE)によると、20日現在のケイマーダの件数は7万4155件で、前年同期より84%増えている。焼けた規模は3万2500ヘクタール。サンパウロ市のイビラプエラ公園206個分の広さだ。
 ケイマーダは本来、森林伐採の後などに農牧地を整えるための焼畑をさし、森林伐採増加とも密接な関係がある。今年に入ってからのケイマーダの半分以上は法定アマゾン内で起きており、その中でも森林伐採が多い地域でケイマーダが多い。具体的には、アプイ(アマゾナス州)、アルタミラ(パラー州)、ポルト・ヴェーリョ(ロンドニア州)、カラカライ(ロライマ州)などだ。
 この状況は、環境問題に関心の強い国々で問題視され、ブラジルよりも大きく報道されている。英国のガーディアン紙は「ブラジルで7万2千件の森林火災」、米国のニューヨーク・タイムズ紙も「2013年の記録開始以来、最大の森林火災数」と報じている。これらの報道で使用された米国航空宇宙局などによるアマゾンの空撮写真や映像では、煙が立ち込める様子も観察できる。
 だが、これらの報道に対し、ボルソナロ大統領は「森林火災を起こしているのはNGOの環境団体で、アマゾン基金の資金を差し止めている政府への抗議キャンペーン」と根拠もなく発言。その上、「法定アマゾン内の州知事たちが協力している」「NGOはアマゾン基金の40%の援助金を得ていた。その金ももうないが」と、自身と対立する北東部の知事や、ノルウェーとドイツからのアマゾニア基金の資金凍結も皮肉った。それも世界中に打電されている。
 また、リカルド・サレス環境相も「北部からの煙が黒い雨の原因というのはフェイクニュース」などと語っており、バイア州サルバドールで開催中の「気候週間」のイベントに登場した21日に会場から罵声を浴びた。