今月17、18両日、南大河州都ポルト・アレグレ市の軍警察学校にて「第8回日本祭り」(樋渡ミルトン実行委員長)が開催された。初めて入場を有料とした今回は、来場者約3万人と前回約9万人から大幅減となった。それでも展示、ワークショップ、ステージ発表、食のブースには日本文化を愛するブラジル人が詰め掛け賑わいを見せた。会場ではブラジル南部最大のアニメの祭典「ANIME BUZZ」も開催。マンガや映画作品の登場人物に扮装した来場者も見られた。
日本祭りは同地日系団体関係者による実行委員会で運営された。日系人が多くない地域で、来場者のほとんどを非日系人が占める。前回までは保存食提供のみで入場無料だった。今回からは10レアルの入場料を設定。2日目は急に冷え込んだこともあり、客足が鈍ったようだ。
サンパウロ市からブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長、ブラジル日本都道府県人会連合会の山田康夫会長ら、さらに在クリチバ日本国総領事館から木村元総領事、在ポルト・アレグレ領事事務所から近藤猛事務所長、軍警察学校関係者らも来場した。
ステージでは太鼓やコロニア歌手の歌唱、武道が披露され、日本からも中平マリコ、ZENKYU、オペラ歌手の田中公道、加えて国際交流基金の助成でバルーンパフォーマー・アキの4氏が駆けつけて登壇し、客席からは拍手と歓声が鳴り響いた。
各教室で行われた生け花や盆栽の展示では、ブラジル人が興味深げに説明を聴き、作品に携帯電話のカメラを向けていた。
食のブースは同地の日本料理店など約15店が出店。昼頃には日本食ファンの大行列ができ、来場者は焼きそば、餃子、どら焼きを笑顔でほうばった。
体育館で開催の「ANIME BUZZ」にはマンガ、アニメ好きの若者が集結。コスプレ大会やアニメソングのバンド演奏、グッズ販売に終日大盛況で、コスプレイヤーが写真撮影を求められる様子も多々あった。
生け花教室の生徒で、来場者に説明をしていた上野喜次郎さん(44、二世)は「ブラジル人は生け花を珍しがって興味を持ってくれる。わざわざ花に工夫をこらして飾る意味は理解できないようだが、その美しさは分かってくれる」と充実の表情を見せた。
食のブースで焼きそばやおにぎりなどを販売していた南日伯援護協会(谷口浩会長)の出店も、昼には来場者が詰め掛け、会員は汗を流しながら対応した。谷口さんによると、2日間で約7トン分の食品が売れたそう。
切り絵作品を手に取っていたハファエル・オリベイラさんは、人気マンガ作品『ドラゴンボール』の登場人物のコスプレに身を包んでいた。「切り絵や折り紙が、コスプレで特徴的な髪型を表現するのに参考になるんだよ」と真剣な様子で語った。(つづく、岡本大和記者)
□関連コラム□大耳小耳
ポルト・アレグレで開催された日本祭りは、地域の一大イベントになった現在も、外部の運営会社を通さず、第1回から同じ会場で続けている。実行委員会からは「今以上に日本祭りを大きくするには、人員も会場の大きさも足りない。将来的には運営の外部委託、会場変更も考えるべきかも」という、日本祭りの発展を示す嬉しい悲鳴も聞こえてきた。