15年11月5日に起きたミナス州マリアナの鉱滓ダム決壊事故で、エスピリトサント州リニャレス市のドッセ川河口の地形や生態系に修復不能な損失が生じている事が確認されたと26日付現地紙サイトが報じた。
この研究報告は、サンパウロ州立カンピーナス大学(Unicamp)の博士課程で学ぶケイラ・コインブラ氏と、指導教官のカルロス・ロベルト・デ・ソウザ・フィーリョ氏(Unicamp)とエンネル・アルカンタラ氏(サンパウロ州立大学)によるものだ。
コインブラ氏らによると、川が海に流れ込み、川の水や沈殿物が羽のように広がる水域が、大きく様変わりした事が明らかになったという。
コインブラ氏らが強調したのは、鉱滓を含む大量の土砂流入で堆積物の層が厚くなり、海中に差し込む太陽光線の量が著しく変わった事だ。太陽光線の量が減ると、海中植物の光合成量が減る。光合成は酸素の供給量や海中生物の食物連鎖の基礎部分を左右するし、太陽光線の量の減少は、海水温の変化も招く。長期的に見ると、太陽光線の減少は、動植物双方の成長を妨げるといえる。
コインブラ氏らは、2013年にミナス州で起きた豪雨に伴う大洪水による沈殿物と、鉱滓ダム決壊に伴う沈殿物の動きも比較している。
13年の豪雨も、ドッセ川の河口付近に例年以上の土砂流入を引き起こした。だが、13年の豪雨後の沈殿物は数カ月かかったが、少しずつ正常化した。
これに対し、ダム決壊後に流入した土砂は、わずか1カ月で大量かつ広い範囲で海底に沈んだ上、事故から8カ月後には、海流によって巻き上げられた土砂や土砂に含まれていた金属が原因と思われる赤潮も発生するなど、様相がまるで違うという。
鉱滓ダム決壊による環境破壊は、事故直後から「80%は修復不能な“損失”」との声が出ていた。今回の研究報告は、沈殿物や河口付近の地形上の変化などが現在も生態系などに影響を及ぼしている事を明確にし、事故以前には戻らない、または戻る時期は予測不能と言わざるを得ない事を明確にしたといえる。
コインブラ氏らは、南大西洋で最も変化に富んだ生態系を持ち、事故後の土砂流入の影響も受けたバイア州南部のアルロリョス群島の調査、研究も行う意向だ。