【既報関連】14日に下院で可決され、大統領の裁可待ちの状態にある職権乱用防止法。「汚職捜査で痛めつけられた議員たちからの、司法、検察に対する反撃」のような性格を持つ同法には、セルジオ・モロ法相や検察官らが拒否権行使を要請している。
それに対し議会は、拒否の要請をはねつけるようにとした意見書を作成し、ボルソナロ大統領に圧力をかけていると、27日付現地紙が報じた。
現在のところ、「逮捕者が逃亡したり、暴れたりする危険性がないのに手錠をかけることを禁じる」の項目を拒否することにだけは、法相サイド、法案促進サイドで合意が取れている。
25日には国内各所で、ボルソナロ大統領に対し、職権乱用防止法を全面的に拒否することを求めるデモも発生。
政敵や既存政党の腐敗を徹底的に糾弾して当選したボルソナロ大統領に、議会からは「汚職捜査の力を削ぐ法案を通せ」の圧力が、国民からは「そんな法案は断固拒否せよ」の圧力が同時にかかっている状態だ。
「大統領は1項目以上拒否するだろうが、法相の求める9項目の拒否には届かないだろう」と現地紙は分析している。
「大統領の拒否権行使は民主主義で認められた仕組み。しかし、議会の判断も尊重してもらいたい。議会は大統領が行使した拒否権を無効にすることもできる」と、ロドリゴ・マイア下院議長は語っている。
大統領は法案裁可か、拒否権行使かを、9月5日までに決めなくてはならない。大統領が行使した拒否権を無効にするには、定数の過半数以上の票が上下両院で必要だ。