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《コロンビア》ゲリラの一部が闘争再開宣言=16年の和平合意を破棄し=元ゲリラリーダーは批判

コロンビアのゲリラの一部が闘争再開を宣言したと伝える伯字各紙

 コロンビアで29日、16年に同国政府と和平合意を結んだ左翼過激派武装組織コロンビア革命前線(FARC)元リーダーのロドリゴ・ロンドーニョ氏に次ぐ〃ナンバー2〃、イヴァン・マルケス氏を中心とした勢力が武装闘争再開を宣言した。30日付ブラジル各紙が報じている。
 マルケス氏は武装闘争の再開を宣言する32分の映像の中で、FARC発祥の地の名を挙げて、「第2のマルケタリアの始まり」を宣言。「我々はイデオロギーの争いで屈したわけではない。戦いは続く。歴史は『我々は戦いを義務付けられていた』と評価するだろう」と語った。
 マルケス氏は、和平合意に伴うFARCの武装放棄の交換条件である、「コロンビア政府が元ゲリラの命を守る」が全く守られていないと主張。和平合意以降、敵対勢力によって殺害されたFRAC構成員の数は150に上る。
 FARCは16年の末に結ばれた和平合意で解体され、同年末には7千人が武器を捨て、FARCを離れたとの記録が残っている。
 だが、その後、合意に反対するメンバーが出てきて、再び武装し始めた。コロンビア国内の実効支配地やベネズエラにいる再武装勢力は、約2千人と推定されている。
 マルケス氏は動画の中で、現在も政府と敵対関係が続いている左翼ゲリラの民族解放軍(ELN)とも、共闘に向けて連絡を取り合っていると語った。
 「闘志があるならば、常に勝利の希望はある」と書かれた横断幕の前で政府との闘争再開を宣言するマルケス氏の隣には、同じ元FARC幹部のヘスス・サントリッチがいた。両者は「キューバで行われたコロンビア政府との和平交渉に参加し、16年末の和平合意後締結後、一旦はコロンビア議会の議員にもなったが、現在は逃亡中の上、米国から、薬物密売容疑で身柄の引渡しを要請されている」という共通の経歴がある。
 FARC側からのビデオ発表から12時間後、コロンビアのイヴァン・ドゥケ大統領は、「武装闘争は再興などしていない。生まれつつあるのは、何の法的、政治的裏づけもないテロ集団に過ぎず、和平を進めるプロセスに参加する権利も発言権もない」と語った。
 元FARCリーダーのロドリゴ・ロンドーニョ氏は、マルケス氏の闘争再開宣言を批判し、元ゲリラの大半は政府との和平合意を守り続ける意向であることを表明した。