ブラジル宮崎県人会(竹下達也会長)は創立70周年記念式典を8月25日(日)午前9時半から、サンパウロ市リベルダーデ区にあるサンパウロ電力組合会館で開催し、母県から駆け付けた公式訪問団19人、民間の慶祝団13人らを含め、約300人で盛大に祝った。翌26日にはジャパン・ハウスで宮崎県と在聖総領事館が「みやざきの夕べ」を共催し、郷土の魅力を幅広くブラジル社会にアピールした。
最初に南米神宮(逢坂和男宮司)によって神道式の県人物故者慰霊法要が行われ、主催者と知事ら一行は厳粛な雰囲気の中、神棚に榊を捧げた。
開会の辞を井上久弘さんが述べて日伯両国歌を斉唱、竹下会長が開会の挨拶として「私たち宮崎にルーツを持つ県人会員は、遠く離れていても故郷を忘れたことはありません。県の発展を心から祈っています」との心情を語り、「1966年に県費留学制度が開始され、県費留学生をはじめ、技術研修、農業研修に続き、合わせて300人が母県の皆さんにお世話になり、帰国後にブラジル各界で活躍している。この灯が将来も続くように念願しております」とお願いした。
河野俊嗣県知事は挨拶で、2013年に谷広海県人会長(当時)が県知事室を訪問したときの写真を、グアルーリョス空港に歓迎にきた県人会役員から見せられ、「思わず涙ぐんだ」と告白した。谷会長はその後、当地で突然の交通事故で亡くなっていたからだ。
さらに「神道儀式がブラジルで体験できたことに驚いている。詔の最初にある『筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原』は全て宮崎の地名。初代神武天皇は宮崎から旅立たれ、第126代の今上天皇が5月にご即位されました」と語り、「神話のふるさと」の知事らしい挨拶を力強く行った。
8月に70歳になった山下博三県議会副議長(丸山裕次郎議長代理)は県人会と同じ歳月を経てきたことに深い感慨を感じるとのべて、県人移住者のパイオニア精神をたたえ、「同年代の方と懐かしい話ができた」と喜んだ。そして丸山議長からの「県人会の皆さんは若年層にも活動を広げ、遠くから宮崎を見守ってほしい」との挨拶文を代読した。
戸敷正宮崎市長の代理として田上明彦副市長が挨拶を代読し、「1万2千人もの宮崎にゆかりのある人たちが南米各地で活躍されている。いつまでもブラジルと宮崎を結ぶ懸け橋であり続けてほしい」と述べた。
ブラジル側から野口泰在聖総領事は2015年から2年間、宮崎県警本部長を務めた経験があり、「県民の皆様にはとてもお世話になった」と礼をのべ、親切で和やか、温かい風土を称賛した。さらに山田康夫ブラジル日本都道府県人会連合会会長も挨拶した。
次々と感謝状や功労賞を授与=賑やかな祝賀会、サンバショーも
式典後半ではサンパウロ市議会から知事と議会議長宛てに、続いて県人会からは母県における功労者に感謝状が渡された。
最初に宮崎市長(代理で田上副市長)、池上亮宮崎大学学長(代理で伊丹利明学長顧問)、米良充典宮崎ブラジル親善協会会長(代理で川添哲郎事務局)、川崎新一宮崎県共同募金会会長(代理で井手義哉県商工観光労働部長)、福良公一県農業共同組合中央会会長(代理で坊薗正恒農政水産部長)、高橋登(株)本多ロック社長、田口正幸南十字星の会会長、早川烈南米を語る会会長(代理で野崎ローザ里美さん)に県人会から感謝状がわたされた。
さらに知事から、県人会発展功労者10人を代表して丸山耕治さんに、県事業功労者20人を代表して渡司レイラきみえさんに、80歳以上の高齢者表彰28人の代表として井上久弘さんに賞状が授与され、それぞれの受賞者側から謝辞が述べられた。
県費留学生・農業研修生が謝辞をのべたあと、記念品が交換され、知事が日系福祉3団体に金一封を贈って閉会した。
その後、祝賀会となり、ケーキカット、鏡開きが行われ、知事の音頭で乾杯し、ゆっくり会食しながら旧交を温めた。
アトラクションでは日本舞踊やカラオケ、剣道デモンストレーションに加えて、飛び入りで山下県議会副議長が「娘よ」を歌って喝采が起き、カラオケ教師をする竹下会長が勢いよく「宮崎まつり」を披露。最後はサンバチーム「アギア・デ・オウロ」の迫力ある演奏とダイナミックなダンスに巻き込まれて、来賓を中心にサンバで盛り上がった。
【祝辞】宮崎県知事 河野俊嗣
写真・宮崎1=祝辞をのべる河野県知事
ブラジル宮崎県人会創立70周年記念式典が、盛大に執り行われることを、宮崎県を代表いたしまして、心からお祝い申し上げます。
さて、月日の経つのは誠に早く、川南町出身の甲斐長蔵氏が1914年にブラジルに入国してから本年で105周年を迎えることとなりました。これまで日本全国から約25万人、本県から約4千人の方々が、祖国を遠く離れ、このブラジルの地に移住されて、言葉や文化、風習など、何もかも日本とは異なる環境の中で、我々の想像を絶するご苦労があったものと存じます。
このような厳しい状況の中で、移住者の皆さまは、夢や希望を失うことなく、弛まぬ努力を積み重ね、地域に溶け込み、ブラジル国内において揺るぎない信頼を得て、現在の確固たる地位を築かれておりますことに、改めて敬意を表する次第でございます。
ブラジル宮崎県人会は、1949年の創立以来、300名以上の会員を擁する、宮崎県の在外県人会の中で最大の組織として発展するとともに、本県とブラジルとの懸け橋として両国の友好親善に大きく貢献してこられました。
これもひとえに、竹下会長をはじめとする、会員の皆さまの強い団結力と、故郷みやざきへの情熱の賜物と考えております。
さて、日本では、今年開催されるラグビーワールドカップを皮切りに、ブラジル大会から引継ぎを受けたオリンピック等、世界規模のスポーツ大会が次々に開催される「ゴールデン・スポーツイヤーズ」に突入し、国内外に本県の魅力をアピールする絶好のチャンスを迎えようとしています。
また、アカデミー賞授賞式のアフターパーティでの宮崎牛の2年連続採用、焼酎出荷量の5年連続日本一など、本県の強みを活かした取り組みが実を結んでおります。
今後は、こうした追い風に乗り、本県がこれまで力を注いできた様々な取り組みの成果を、目に見える形でしっかりと出しながら、さらに大きく飛躍したいと考えております。
ブラジル宮崎県人会の皆様におかれましては、宮崎県の良き理解者として、これからも末永く郷土を見守っていただきますとともに、ふるさと宮崎の発展のために、多大なるご支援を賜りますようお願い申し上げます。
ブラジルの日系社会は190万人を越え、移民110周年の歴史の中で、徐々に三世、四世がその活動の中心になりつつあり、年々日本との結びつきが薄まりつつあるとも伺っております。
このような中にあって、我が宮崎県は、県費留学生や農業研修生事業を通じて、宮崎―ブラジル双方の若者達が、息の長い交流ができるよう、着実に事業を展開しているところであります。
この度の式典開催にあたっては、多くの留学生・研修生OB・OGが中核となってその準備を進めてきたとの話を伺い、この式典や宮崎県とブラジル宮崎県人会を繋ぐ事業が、県人会の将来を担う若者達の育成に繋がっているものと意を強くしたところでございます。
この度の県人会創立70周年を契機に、これまの宮崎―ブラジル間の様々な取り組みに加えまして、未来を担う若者達の意見も反映しながら、ブラジル宮崎県人会の皆さまとともに両国の未来を展望した、一層強固な関係を築いてまいりたいと存じます。
終わりに、本日の式典開催にあたり早くから計画・準備にご尽力いただきました県人会・式典実行委員会の皆さま、ならびにご多忙のなかブラジル各地からお集まりになられた会員の皆さまをはじめ、本日ご出席の皆さま方に対し、心から感謝の意を表しまして、お祝いの言葉といたします。
MUITO OBRIGADO.
【ご挨拶】ブラジル宮崎県人会会長 竹下達也
ここにブラジル宮崎県人会創立70周年記念式典開催にあたり、母県より河野知事さまをはじめ、山下県議会副議長さま並びに県庁の皆さまをはじめ、日本からの慶祝訪問団ご一行をお迎えし、また野口泰在サンパウロ日本国総領事、山田県連会長、市議会議員、日系社会各界の名士のご臨席を賜り、県人一同に代わり、厚くお礼申し上げます。(中略)
私たち宮崎にルーツを持つ県人会員は、遠く離れていても故郷宮崎のことをわすれたことはありません。宮崎の発展、繁栄をいつも心から願っています。本日、式典を開催するにあたり、会員はもとより各方面からの温かいご支援を頂きましたことにお礼を申し上げます。最後にご臨席の皆さまのご健勝と慶祝訪問団の皆さまのつつがなきご旅行を祈念して挨拶の言葉と致します。
本日はありがとうございました。