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《ブラジル》退職金積立の早期引としを承認=払い出し開始は13日から

 ブラジル政府は景気刺激策として、正規雇用の社員が積み立てている退職金を、前もって引き出すことを可能にした。
 これは、前倒しで現金を国民に渡すことで、少しでも消費に回してもらい、経済活性化を促す政策だ。政府は各退職金積み立て口座から500レアル単位で払い出しを行う。
 この積立金を管理している国営銀行に口座を開いている人には9月13日から自動振込みが始まるが、このちょっとした“ボーナス”を、どのように使えばよいか、ブラジル紙が紹介している。
 銀行や商店、学校などへの債務不履行の有無などの情報を集め、融資希望者の信用度を判断する情報を金融機関に提供するクレジット保護サービス(SPC)のロッキ・ペリッツァーノ会長は、「500レアル(約1万4000円相当)では少ないと思われるかも知れないが、決してバカにしたものではない」としている。
 また、今回得たお金で小額でも投資を始めようとの機運が出ていることも、投資顧問会社XPインベスチメントはつかんでおり、小額から行える投資方法も地元紙は紹介している。
 「得たお金を旅行に使ってもらおう」と、9月7日の独立記念日前後の期間にサンパウロから往復500レアル以内でいけるパッケージプランを出す予定のインターネットでのパッケージ旅行プラン販売会社もある。
 勤続期間保障基金(FGTS)からの引き出しが認められたお金は、正規雇用で人を雇っている企業が、給料とは別に積み立てる退職金だ。この資金は国営の連邦貯蓄銀行が管理し、不動産ローンの融資資金にも利用される。それによって元手が増え、退職するときに運用で増やした分も受け取ることが出来ていた。
 そのお金を先に現金で貰ってしまうから、労働者の方も退職金が減るし、国営銀行の行う不動産ローンの原資が減り、融資件数や融資総額が減り、不動産市場が冷え込む危険性も存在する。
 日本人と比べて貯蓄率が低く、「酔いごしの金は持たない」気質の国民も多いことから、ブラジル政府はこの政策により400億レアルの経済効果が出ることを期待している。
 企業収益、税収、雇用が増え、国内総生産(GDP)アップにもつながれば良い事ずくめだが、結果は果たして…。(2日付フォーリャ紙より)