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リオ=「本のビエンナーレ」で同性愛描いた漫画が問題に=市長が回収命じるも既に売り切れ

問題になった漫画「アヴェンジャーズ」の一幕

 リオのマルセロ・クリヴェラ市長は5日夜、同市で開催中の「本のビエンナーレ」に出品されていた、男性2人がキスをする姿が描かれている漫画を回収するよう命じる意向を明らかにした。だが、この動きは「検閲」にあたるとして抗議が相次ぎ、対象となった漫画が売り切れになるなどの事態を生んだ。
 漫画の回収を命じたクリヴェラ市長は、キリスト教福音派の国内最大宗派「ウニベルサル」のエジル・マセド司教と深いつながりがある人物で、2016年に市長に当選する前から有名だった。
 今回、回収の対象となったのは、アメリカのマーヴェル・コミックスの人気漫画「アヴェンジャーズ」の「子どもの十字架」と呼ばれるもののポルトガル語翻訳版(Vingadores, a cruzada das crianças)で、市場には2016年から流通していた。
 この漫画には、ウィッカーノとハルキングと称する男性が登場する。この二人は恋人同士で、二人が抱き合い、キスをする姿が描かれている。
 これが流通していると耳にしたクリヴェラ市長は回収を命じた。だが、6日の午後、派遣された監査官が回収作業を始める前に、漫画本は既に売り切れていたという。
 それは、回収の噂を聞いたビエンナーレの観客が、あわてて購入したためだ。今回のビエンナーレでは同書を20冊入荷していたが、半時間あまりで売り切れたという。
 ブラジルでは4日、サンパウロのジョアン・ドリア州知事が、日本の中学生にあたる州立学校の教科書に「トランスジェンダー」「ホモ・セクシャル」「バイ・セクシャル」などの記述があり、「人は生まれながらに性を持つのではなく、社会生活で性を決めるのだ」とも書いてあることを問題視し、教科書を回収させたばかりだった。
(6日付G1サイトなどより)