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日本にはない「祭りダンス」

 先日、北パラナの日系イベントで盆踊りを目にした。参加者は月とちょうちんに照らされ、やぐらの太鼓奏者を囲み、歌謡曲などに合わせゆったりと踊っていた。若者や非日系人も多く、「これが日本文化継承の姿か」とぼんやり眺めていた。
 数曲の歌謡曲が終わり、盆踊りも閉幕かという頃、突然1990年代のアップテンポなJ‐POPが流れ始めた。何かの間違いかと見ていると、先程まで年配者がリードしていた盆踊りとは打って変わり、若者が先頭に踊り出てキレのあるダンスを披露し始めた。「待ってました」とばかりに、楽曲に負けじとかけ声を上げ、ハイテンションでやぐらの周囲をグルグルと回った。
 後で聞いたことだが、若者たちは日本のアップテンポな楽曲に合わせ踊る「祭りダンス」が大好きなので、それのルーツになった盆踊りを先にやることを約束事にしているとか。「祭りダンス」が盛んになるほど、盆踊りも残っていく仕組みだ。良い方策だと感心した。
 と同時に、日本にはない「祭りダンス」という新しい「日系芸能」を彼らは作り出したのだと、興味深くお祭り騒ぎを見つめていた。(大)