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福田さんが野球用具寄贈=グローブ40個、ボール300個

ボールを受け取った子どもら(中央後方が福田さん、福田さん提供)

 千葉県在住の福田雄基さん(28)が、ブラジルの子どもらに野球用具を寄贈するため来伯した。10日、国際協力機構(JICA)ボランティアの小島尚幸さんと報告に来社。17年に続いて2度目の寄付来伯となった。
 福田さんは7日から10日までの滞伯中に、サンパウロ州のグアララペスやアニャンゲーラなどの野球チームを巡り、新品グローブ40個、中古ボール300球を贈呈。アニャンゲーラ日系クラブで野球指導を行う小島さんも、福田さんのブラジルでの活動をサポートした。
 福田さんはスポーツ関連のイベント、広報、コンサルティングなどに携わる企業を経営。その人脈を生かし、野球用具の寄付を募った。クラウドファンディングで渡航資金も募り、不足分は自費で負担。持参した野球用具は「一人で持ち込める荷物の規定上限量」とのこと。
 ブラジルでの活動に至ったきっかけは、2016年のリオ五輪。現在の事業を興す前だった福田さんは、20年の東京五輪を見据え「スポーツに携わる仕事をしたい」とリオに視察に来ていた。華々しく五輪が開催される隣で、ファベーラの子どもが裸足で過ごす光景を目にし、日本との大きな格差に衝撃を受けた。
 その滞在中、偶然尾崎眞次さん(当時在伯埼玉県人会会長、現在千葉県在住)と出会い、ブラジルの情勢や日系社会についての見聞を深めた。ブラジルでは日系社会を中心に野球が広まっているが、用具が手に入りづらいと聞き協力を思いついた。

福田さん、JICAボランティアの小島さん(福田さん提供)

 福田さんは、国際大会などで訪日したブラジルや他南米諸国の野球少年らにも用具を寄贈しており、昨年グアララペスの少年野球チームが訪日した際には、プロ野球の試合観戦に招待するなど、野球を通した支援活動を積極的に行っている。
 グアララペスの少年野球チーム訪日に際しては「周りの野球をしていない子にも用具を渡して、野球を多くの子で楽しんでほしい」と子どもらに伝えた。以後同地では野球人口が増え、父兄も練習を手伝うようになったそう。今回その子どもらと再会した福田さんは「子どもたちは自分のことを覚えており、また楽しそうな姿を見て感動した。新鮮な体験だった」と喜びを語った。「早ければ来年にもまた来たい。仕事でもブラジルとつながって、お金や雇用で還元できれば」と今後の展望を明かした。


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 野球用具寄贈のため来伯した福田さんによると、日本で野球用具の寄付を募った際、ある企業の野球チームから、廃棄予定のボールを提供してもらったそう。だがそのボールは、公式戦でも使える程きれいで、捨てるにはもったいないものだったとか。福田さんが寄付を呼びかけたことをきっかけに、その企業は中古のボールを各所に寄贈するようになったそう。福田さんは「日本には『もったいない精神』があるとよく言うが、正直あまり感じられない」ともらした。福田さんの活動が広まっていけば、人々の意識も変わるだろうか。