ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領は17日、家庭内暴力の加害者に、SUS(ブラジルの公共医療システム)で生じた被害者の治療費を賠償することを義務付けた法律を裁可した。18日付現地各紙が報じている。
同法は、女性に対する言われなき暴力を防止する法律、通称マリア・ダ・ペーニャ法を改正したもので、議会で承認した後、大統領の裁可待ちだった。
加害者には、SUS以外の医療機関で受けた治療費や薬代の賠償責任も生じる。また、直接的に暴力を加えた場合だけでなく、加害者がわざと放置した場合など、不作為による身体的、精神的損傷の場合も、賠償責任が生じる。
正式に有罪判決を受けていなくても、加害者に賠償責任が生じることも改正法に含まれた。
下院は、「夫の暴力が原因で妻が家から逃げなくてはならなかった場合、避難施設の宿泊費用や女性を保護するためにかかった費用も加害者側が賠償しなくてはならない」と発表した。
暴力から逃れた女性が身を寄せるための公的施設は存在するが、滞在費を無償とすることは法律で禁じられている。今回の改正で、費用の負担責任が加害者側に行くことが法制化された。
ただし、負担責任を果たさなかった場合の罰則規定は、今回は明記されなかった。改正法は45日後に施行となる。
全国治安フォーラムによると、ブラジルでは昨年、1日あたり180件の強姦と、720件の家庭内暴力が発生。強姦件数は2009年以降で最多だ。また、被害者は、子供や青少年など、未成年が大半を占めている。
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