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《ブラジル》経済基本金利が制定以来最低の5・5%に=市場はさらなる利下げ望む

ブラジル中銀ビル(参考画像・Wilson Dias/Ag. Brasil)

 17、18日に開かれたブラジル中銀の通貨政策委員会(Copom)で、経済基本金利(Selic)を年6%から年5・5%へと、0・5%ポイント下げることが決まった。19日付現地各紙が報じている。
 Selicは昨年3月下旬に6・5%に切り下げられて以来、10会合連続で据え置かれていたが、7月末のCopomでは、1年4カ月ぶりに年6%への利下げが起きた。今回の利下げはそれに続くものだ。Selicは6・5%の時点で史上最低水準だったが、7月末と今回の2会合連続で最低水準を更新した。
 Copomは利下げ決定の根拠として、「世界経済の中心的存在である米国も利下げ方向に動いており、ブラジルなど、新興国にとって利下げ後押し要因となった」と発表。実際、米国連邦準備制度理事会(FRB)は、ブラジルの利下げ発表の直前に政策金利を0・25%下げ、「年利1・75~2%の間」とした。
 また、現在起きているサウジアラビア石油減産不安への直接の言及は避けつつ、「世界情勢は引き続き不透明で、世界規模の景気後退リスクがある」とも発表した。
 ブラジル国内情勢に関しては、これまで必ず言及されてきた、社会保障制度改革の実現性への不安に関する言及はなかった。今月初めに社会保障制度改革案が上院の憲政委員会(CCJ)で承認され、後は本会議採決2回を残すのみであることが原因だ。
 ブラジル中銀は、利下げを進める根拠として、国内インフレが抑制されていることにも触れた。中銀が18日に発表した、今年と来年のインフレ率の独自予測では、今年のインフレは前回発表の3・6%から3・3%へ、来年の予測は3・9%から3・6%へと、各々、下方修正された。
 中銀はさらに、「低インフレが続く見通しが強まっており、さらなる景気刺激策(利下げ)の可能性もある。引き続き、景気とインフレの動向を注視し続ける」とした。
 年内のCopomはあと2回(10月末と12月中旬)の予定だ。経済関係者からは、インフレが止まっている中、さらなる景気刺激策として年5%への利下げを望む声が多い。金融情報サイトのインフィニティ・アセット・マネージメントによれば、経済基本金利からインフレ率を引いた実質金利は1・65%で、依然、世界8番目の高さだ。