19日、連邦警察が上院政府リーダーのベゼーラ・コエーリョ氏(民主運動・MDB)と、息子のフェルナンド・フィーリョ下議(民主党・DEM)の家宅捜索などを行ったことで、連邦政府が今後、社会保障制度改革や、駐米大使に指名された大統領三男エドゥアルド氏の上院審査などの調整役を失う可能性が出てきている。20日付現地紙が報じている。
今回の捜査は、ベゼーラ氏と息子のフェルナンド氏が2012~14年に約554万レアルの賄賂を受け取った疑いによるもので、連邦議会とブラジリアの議員住宅をはじめ、ペルナンブコ州やパライバ州など、両氏に関係がある52カ所が家宅捜索の対象となった。
問題となった賄賂は、サンフランシスコ川の疎水工事の契約など、北東部での公共事業に関連するものだ。ベゼーラ氏はジウマ政権下の2011~13年に国家統合相をつとめ、フェルナンド氏はテメル政権下で鉱山動力相をつとめていた。
今回の捜査は、ジョアン・カルロス・リラ・ペッソア氏をはじめとしたOAS社のオペレーター3人による報奨付供述(デラソン)に基づいたものだ。ベゼーラ親子への振込みはOAS社の命令で行われたという。
ベゼーラ氏は、ジウマ政権時代はブラジル社会党(PSB)所属だったが、その後に古巣のMDBに復帰。ボルソナロ政権では上院政府リーダーをつとめている。連警の捜査後、ベゼーラ氏は政府リーダーの職は大統領の判断に任せるとの意向を明らかにした。
上院でも大物政治家の捜査に対して、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長は、上議任命以前の疑惑に関するものであることや上院での審議日程などを鑑み、「このような捜査を今了承するとは、最高裁は何を考えているんだ」と強く批判した。
ベゼーラ氏は、かねてからアルチクラソン(政局調整)に弱いとされているボルソナロ政権には貴重な人材だ。現在は社会保障制度改革案承認、そして、この先は、かねてから世論の反対が強いエドゥアルド・ボルソナロ氏を駐米大使に承認させるための調整役が期待されている矢先に、上院や下院にまで踏み込んでの捜査となった。
このような流れの中、ベゼーラ氏の弁護人のアンドレ・カレガリ氏は、「モロ法相が連邦警察を介して行った議会への報復行為なのではないか」との解釈を示した。
モロ法相が提案した汚職防止法案は連邦議会内での評判が悪く、議会内で多くの修正を加えられて骨抜きにされている。カレガリ氏は、「ベゼーラ氏は同法案をとりわけ強く批判していた」と語っている。
また、今回の家宅捜索が、連邦検察庁の意見書に反する形で行われたことも、議会関係者らをいらだたせた。家宅捜索令状を出したルイス・ロベルト・バローゾ最高裁判事は、ヴァザ・ジャット報道後に最高裁でのモロ氏への支持が落ちる中でなお、モロ氏やラヴァ・ジャット作戦を強く支持する言動で知られている人物だ。