SOSマッタ・アトランチコ財団によると、サンパウロ州で一番大きな河川、チエテ川の汚染状況が過去6年間で最悪の状態となっていると、18、19日付現地紙サイトが報じた。
「チエテ川の日」にあたる22日を前に公表された「チエテ川計画の効果を示す指標の進捗と水質に関する報告書」によると、同財団が観測している576キロの流域の内、28・3%にあたる163キロは、水質が「悪い/最悪」の「死んだ川」だという。昨年の「死んだ川」は122キロだったから、1年間で33%増えた。
「死んだ川」は、水面にゴミや泡などが溜まり、しみができたようにも見えるため、「汚染のしみ」が広がったと表現するメディアもあった。
川が死ぬ最大の理由は住宅地や工場地帯、農産物の生産地などからの排水の垂れ流しだ。チエテ川の水源地のサレゾポリスからサンパウロ市までには農業生産の盛んな地域や下水処理率が低い地域もあり、チエテ川はサンパウロ市に着く前に既に、実質的に死んだ状態になっている。
「死んだ川」となっている163キロ中、155キロは、モジ・ダス・クルーゼス市~カブレウヴァ市間に広がっている。これらの流域は、水の色が濃く、悪臭も漂う所が多い。特に、ピニェイロス川が合流するセボロン地区と、グアルーリョス市からの排水が流れ込むペーニャ地区(いずれもサンパウロ市内)の水質は「最悪」だという。
残る約8キロ分は、より下流のサウト市とその近郊だ。この流域では、水中の洗剤分が段差などで泡立って川面を覆った上、橋を覆い、街中に押し寄せたりする。
サンパウロ州水道公社(Sabesp)によると、サンパウロ市の隣にあり、同社の管轄外のグアルーリョス市は下水処理率が10%程度だという。また、川の周辺部などに勝手に住み着いた人々が垂れ流す生活排水も、問題解決を難しくする。同川周辺の不法滞在者は300万人以上とされている。
他方、チエテ環境公園があり、生活排水などの流入量が減るイタクアケセツーバ市以降の約10キロは、川の「しみ」が途絶えるという。SOSマッタ・アトランチカ財団のマル・リベイロ氏はこの流域を例に挙げ、自然を保護し、天然の浄化力を高める事も、チエテ川を健全に保つ鍵の一つだと強調した。