ボルソナロ大統領は24日、ニューヨークの国連総会で演説し、「アマゾンが人類の共有財産などというのはまやかしだ」と発言し、さらにキューバやベネズエラを批判し、トランプ大統領やイスラエルを称えた。24日付のブラジル国内ニュースサイトが報じている。
ボルソナロ大統領の演説はブラジリア時間の午前10時半頃から行われた。大統領は冒頭で「ブラジルは共産主義に非常に近い状態にあり、汚職が蔓延していた。2013年には、キューバとの間で資格さえ保証されていない1万人の医師派遣契約を交わしたが、家族は呼べず、給与の75%は同国が受け取っていた。だが、私が大統領になったら、9割が国に戻った」と語り、「このようにして我が国はキューバの独裁者支持から手を引いた」と主張した。
さらに、「ベネズエラではまだ、社会主義が生きている」と語り、そこで同国のチャベス元大統領やルーラ元大統領など、90年代から続いていた南米の左派政権を批判した。
ボルソナロ氏はこれに続いて、注目のアマゾンの森林保護に関する発言を行った。8月に法定アマゾンでの森林火災拡大を巡って国際的に批判され、23日の環境行動サミットでも酷評されていた同氏は、「我が国は環境を最も保護している国だ」と強調した後、「アマゾンが人類の共有財産などというのはまやかしだ」とし、国内の世論調査でも2割弱の国民しか支持しなかった持論を繰り返した。
ボルソナロ氏はこの見解を「国の主権」の立場から主張。「トランプ大統領も支持してくれている考え方だ」として、敬愛するトランプ氏を称える一方、アマゾン支援は「宗主国という考え方が未だに抜けていない証拠だ」として、フランスや主要7カ国(G7)の首脳たちを批判した。
さらに「先住民だって豊かになることを望んでいる」として、「国の14%ある先住民保護区を20%に増やしたりはしない」とし、国内で発言した「1平方センチたりとも増やしはしない」より穏やかな言い方ながらも、自身が進めたがっている農地改革、鉱区開発を肯定するような発言も行った。さらに、森林保護を代表する先住民の酋長として世界的に有名なラオーニ氏に触れ、「彼が独占する時代は終わった」と主張した。
さらに、「宗教の自由を脅かす弾圧は断じて許さない」と強く訴え、国内の福音派を喜ばせた。また、国際交流に関しては、同じく極右政権のイスラエルを他の国家よりもひときわ褒め称えた。
今回の国連演説を巡ってはブラジル国内でも賛否両論が分かれているが、「国連でも昨年の大統領選のキャンペーンを繰り返している」との声は根強かった。
この演説の国際的な受けは決して良いとは言えず、1ドルは演説直後に4・18レアル前後まで上がったが、17時現在は4・1643レアルに落ち着いた。