25日、上院で連邦検察庁特捜局(PGR)の次期長官試問(サバチーナ)が行われ、アウグスト・アラス氏が正式に承認された。同氏は、検察庁が内部選挙で選んだ3人の候補(トリプリセ)以外からボルソナロ大統領が選んだ候補のために物議をかもしていたが、上院投票は圧勝した。ラヴァ・ジャット(LJ)作戦の弱体化を予見させると、26日付現地紙などで報じられている。
ボルソナロ氏がPGRの伝統を破り、16年ぶりに独自に選んだ人物だけに、アラス氏に対しては検察庁内部で反対運動が起き、世論の反発も強い。
ただし、その流れは上院には反映されず、試問は標準的な5時間程度で混乱もなく終わった。承認するかを問う投票は憲政委員会が23対3、本会議投票が68対10と圧倒的な支持を受ける結果に終わった。
上院で支持された理由の一つは、アラス氏が以前から現在のLJ作戦に懐疑的な姿勢を示していたことだ。同作戦での容疑がある政治家は上院には少なくない。
試問の席でアラス氏は「LJ作戦は支持する」としながらも、「デウタン・ダラグノル氏(LJ作戦担当検察官)のやってきたようにはやりたいが、派手な脚光を浴びない形でやりたい」とし「修正する」意向を示したので、上院の中のLJ支持者をいらつかせた。
LJの弱体化は、同作戦の判事だったセルジオ・モロ法相がこだわった金融活動管理審議会(COAF)が法務省から経済省に移されたことでも既に明らかだ。さらに、今回の反LJ派と目されていたアラス氏の就任は、COAF絡みの疑惑のある大統領長男フラヴィオ氏にも好都合と見られている。COAFはその後、中銀傘下に移され、名称も金融情報部(UIF)となった。
上院でアラス氏への反発が少なかったもう一つの理由は、同氏がボルソナロ氏と異なり、左派よりの人脈だったこともある。アラス氏は試問中に1964年の軍政開始は「クーデターか? 革命か?」と問われた際、「まだ十分な議論が足りない」としながらも「68年には完全に自由が奪われた」と、大統領と異なる見解も示した。
「福音派弁護士会からの要望書(同性愛を病気として治療するとするクーラ・ゲイ意見書)にサインしたとの報道があったが」との質問に対し、アラス氏は「あれは中身をよく読まずに行ったもので、個人的には同性愛結婚をした友人も少なくない」とし、噂されていた同性愛嫌悪者とのイメージを否定した。
アラス氏の就任式は翌26日朝、大統領府で行われ、「独立」「自主」をモットーとし、対話を尊重すると宣言した。正式な就任開始は10月2日。それまでに主要周辺人事を固める予定だ。
CBNラジオの政治評論家からは、「検察庁内の自主独立の習慣を破って就任したので、政治家受けはいいはずだが、内部的には反発が強く、味方が少ない。今後、組織の統率に難がある可能性がある」との指摘も出ている。任期は2年間で2021年9月まで。