【既報関連】サンパウロ州では警官10万人当たりの自殺率は23・9人で、一般市民(5・8人)と比べてほぼ4倍だ。ブラジル全体で見ても、昨年は104人もの警官が自殺しており、勤務時間中にギャングとの銃撃戦などで殉死した87人よりも多い。サンパウロ州警察の組織内オンブズマン(相談所)は、職務によるストレスなどが理由で自殺するケースが増えていると、26日付地元紙で警告を発している。
2017、18年に州内で起こった警察の自殺件数や理由などを分析した同オンブズマンの報告書によれば、昨年サンパウロ州内で自殺した警官は30人で、勤務中に死亡した数17人を上回った。
同オンブズマンは自殺の原因として、常に危険と隣り合わせにある職務上のストレス、警察機構から与えられるべき心のケアの不足、うつ、組織内の衝突(パワハラ)、家族の問題または金銭問題、孤独感や過度の内省、自殺報道の影響、武器が容易に入手できるの八つを挙げており、これらの要因が重なって自殺につながった可能性があるようだ。
ある専門家は、「警察機構が、職員に対する心のケアをしっかり行わなくてはいけないという警告」と語る。
同オンブズマンは、自殺者のデータ、背景を分析。遺族や、友人への聞き取り調査も行い、市警と軍警で傾向に差があるかを調べた。
軍警の場合は、全国的な傾向と同様、勤務時間外に殺される場合が最も多い。次が自殺で、勤務中の死がそれに続く。
しかし、サンパウロ州市警の場合は自殺が最も多く、勤務中の死、勤務時間外の死の両方を上回った。
サンパウロ州警察の内部オンブズマンのベネジト・マリアーノ氏は、「調査により、サンパウロ州警察の心のケアを充実させる必要があることがはっきりした。銃と制服を与えれば、誰でも警官になるわけではない。養成期間のころからストレスコントロールの方法を学ばせる必要があり、現役警官として勤務している間も、定期的にストレスコントロールの授業などを受けさせることが必要」と結んだ。
世界保健機構(WHO)は、「自殺の90%以上は精神錯乱と結びついているので、適切な処置、ケアがなされていれば防げる」としている。