【既報関連】「汚職に甘い法案を議会が承認するも、大統領が拒否。それを議会がさらに拒否」がまた起こりそうだ。ジャイール・ボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)は9月27日、同月18日に議会が承認した選挙関連法案(PL5029/19)の一部を拒否の上で裁可した。9月27、28日付現地各紙・サイトが報じた。
同法案は来年の統一地方選挙における選挙助成金や政党助成金の使い方について定めたもので、「党事務所の建設費や改装費に助成金を使える」や「監査役や弁護士の費用は選挙資金上限に含まれない」、「政見放送の枠外でTV、ラジオ、ネットCMを打てる」、「フィッシャ・リンパ法による出馬制限の緩和」などの内容が、「カイシャ・ドイス(闇帳簿)を助長する」と批判を浴びていた。
ボルソナロ大統領が社会保障制度改革や税制改革を実行するためには、議会の協力が不可欠だ。
しかし、「自分はこれまでの政治家とは違ってクリーン。汚職に厳しく対処する」との主張で大統領選に勝ったこともあり、議会が突きつけていた“汚職に甘い法案”に対し、今回も、一部拒否という態度で応じた。
大統領が拒否したのは「政見放送の枠外で、助成金を使ってTV、ラジオ、ネットのCMを打てる」、「選挙違反時の罰金を政党助成金から払える」、「これまでに選挙裁判所から政党に科せられていた罰金の免除」、「フィッシャ・リンパ法による出馬制限の緩和」「政党に所属していない人の航空券代を助成金から払ってもよい」などがある。
問題があることを指摘されながらも大統領が拒否に踏み切らなかった項目には、「監査役や弁護士の費用は選挙資金上限に含まれない」や、「政党への献金を、ボレットやデビットカードで行える」、「選挙会計報告が承認されず、罰金を支払う場合、最大50%までを政党助成金から支払える」などがあった。
例えば、「弁護士、監査役に支払った金額を実態以上に申告し、差額の金を別のことに使う」のは、完全なるカイシャ・ドイスだ。
議会は早くも「拒否の拒否」の動き
なお、統一地方選の本番は来年10月4日で、選挙関連法案はその1年前に公布されていなくてはならない。議会はロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)や、超党派のセントロンを中心に、大統領の拒否をさらに拒否するため、すでに動いている。
彼らは、拒否された項目の内、選挙助成金の制限について定めた項目を復活させることで合意している。残る13項目の拒否をどれだけ復活させるかは協議を進めている。