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ブラジリア大学で国際会議=先住民族の言語を残せ!

先住民の言語や文化を残す事の大切さなどを話し合う会議が始まった(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 1日から6日まで、ブラジリア大学で、第2回先住民と少数民族の言語に関する国際会議が開催されている。同学会は国連が2016年に定めた「国際先住民族言語年」のイベントで、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が主導している。
 会議には29の教育・研究機関の代表が参加しており、その数は、ブラジリア大学外の人だけで約200人に上る。その内の80人は、チリ、ボリビア、ニカラグア、ペルー、カナダ、ニュージーランド、スペイン、米国からの参加者だ。
 2019年を国際先住民族言語年とする事は、16年12月19日に国連総会で宣言された。この宣言は先住民問題に関する国連常設フォーラム(71/178)に基づくもので、調整などをユネスコに依頼する事も総会で決まった。
 国際先住民族言語年は、先住民族の言語が直面するリスクに注目する事を目的としており、先住民族の言語や文化の持続性の再確認、生活の質の向上、より広い国際協力と認知度の向上、異文化間コミュニケーションの強化を目指す。
 今回の会議にあわせて開設されたサイトでは、先住民族の言語を残す理由と、様々な部族の歴史や文化を伝える資産としての重要性を伝え、この取り組みが始まった経緯などを説明している。
 国連によると、世界には6千から7千の言語があるが、世界の総人口の97%は4%にあたる言語を話しているに過ぎない。逆に言えば、先住民を中心とする3%の人々が、残りの96%の言語を保っているのだ。
 今回の会議のコーディネーターを務めるアナ・スエリー・アルーダ・カマラ・カブラル教授は、ある言語を話す部族が他の言語を話す部族の中に住み始めると、一方の部族が持つ言語が消滅する可能性が高くなると警告する。ある言語が残るためには、その言語を話す部族がおり、その部族のコミュニティが保たれている事が必要なのだ。
 同教授によれば、言語保存のためには、その言語を日常的に使う部族やその部族が他の言語の影響を受けずに生活できる空間が必要だという。ブラジルの場合、ポルトガル語が日常的に使われる環境に置かれれば、部族の言葉を学び、継承する機会は失われ、その言語の話者や言語自体が絶えてしまうのだ。そういう意味では、先住民保護区の存在意義は大きい。
 同教授はトゥピーやマクロ―ジェといった先住民言語を30年以上研究しているが、最も感動するのは、自分達の言語の構造などを研究し始めた先住民の研究者が見せる反応だという。自分達の言語がどのように機能するか、どんなに素晴らしいかを理解した研究者達は、年配者の言葉にもっと注意を払うようになり、自分達が集めたデータを文書に残すだけでなく、言語を研究しようとする学生や部族の人達に言語保存の必要性を説くようになる。
 先住民の言語の重要性を知る研究者や先住民の言葉の教師を育て、言語を記録し、より適切な方法で次世代に伝えていく事で、各家庭にも言語保存の意識が育っていく事が、言語を残すための道だと、アナ教授は力説している。(1日付アジェンシア・ブラジルより)