ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》PSL選挙不正問題=不正受給はボルソナロにも?=疑惑は観光相のみならず=証言と分配表が証拠とも=モロ法相は真相解明に消極的

《ブラジル》PSL選挙不正問題=不正受給はボルソナロにも?=疑惑は観光相のみならず=証言と分配表が証拠とも=モロ法相は真相解明に消極的

4日のボルソナロ氏(Antonio Cruz/Agencia Brasil)

 昨年10月の総選挙時に、社会自由党(PSL)ミナス・ジェライス州支部が幽霊候補者(ラランジャ)を立てて、政党支援金を不正に受給したとされる問題で、それらの金がカイシャ・ドイス(裏帳簿)の形で、マルセロ・アウヴァロ・アントニオ現観光相(休職下議)とボルソナロ大統領の選挙キャンペーンに回されていたとの疑惑が浮上している。6、7日付現地紙が報じている。

 この疑惑は今年2月から報じられている。当時は、ラランジャを介した不正受給金は、PSLミナス州支部長をつとめていたアントニオ氏の側近の企業などに回されていた、と報じられていた。
 だが、6日付フォーリャ紙の報道によると、アントニオ氏の元側近で選挙参謀だったアイサンデル・ソウザ・デ・パウラ氏が連邦警察に対し、これらの受給金の一部が、裏帳簿(選挙裁判所に届け出ない選挙資金)の形でアントニオ氏の下院議員選やボルソナロ氏の大統領選の資金に回されていたと証言していたことが明らかとなった。同州内でのボルソナロ氏の大統領選のコーディネートは、アントニオ氏が担当していた。
 この証言は、アイサンデル氏が6月27日に一時逮捕された際、逮捕されてから9時間後に行われたという。
 連警によると、これまでの調べで、PSLミナス州支部は少なくとも4人の女性をラランジャ候補として使い、女性候補支援金の27万9千レアルを不正受給していたことが判明している。これら4人の女性候補は、全員で2074票しか獲得していない。
 また、それらの不正受給金がアントニオ氏やボルソナロ氏の選挙キャンペーンに回されていた証拠として、ラランジャの内の2人とPSLにサービスを提供していたとされる、「ヴィウ・ミディア」という印刷会社で押収された金の分配表が挙げられている。
 それによると、ボルソナロ氏に関する経費は、「4200レアルは外部から支払われ、正規の領収書の額は1550レアル」との記述があるという。同社への支払いは、ボルソナロ氏が大統領選後に届け出た会計報告書には記録されていない。
 同じ分配表にはアントニオ氏に関する項目もあり、「3360レアルは外部から払われ、740レアル分は領収書発行」との記述があるという。同氏の下議選での会計報告には、同社への支払いは280レアルと記されているという。
 アントニオ氏やアイサンデル氏ら7人と、4人の幽霊候補は4日、ミナス州の選挙検察から起訴された。
 セルジオ・モロ法相はフォーリャ紙の報道があった6日、ソーシャルネットワーク上に、「ボルソナロ氏は大統領選史上、もっとも選挙資金をかけなかった人物だ」などと記載し、裏帳簿の捜査に消極的な姿勢を示した。だが、連警はボルソナロ、アントニオ両氏に対する捜査をはじめることを希望している。