エクアドルで3日、トラック、バスやタクシーの運転手らによるガソリン値上げ反対のストが激化し、大統領が非常事態宣言を行った。だが、デモは続き、4日には約370人が逮捕される混乱が生じた。4日付伯字紙、サイトなどが報じている。
今回の大規模ストは、財政赤字に陥ったエクアドル政府が大幅な歳出削減を行うため、9月30日にガソリンや軽油への補助金廃止を発表したことがきっかけとなって生じた。この補助金制度は40年以上にわたって行われていたもので、これが廃止されたことでガソリン価格が一気に123%も上昇した。
この補助金廃止は、エクアドルが国際通貨基金(IMF)から20億ドルの資金援助を受けるために結んだ合意に伴う、経済政策の一部だ。
これに対して、トラックやバス、タクシーなどの運転手たちが反抗。首都キトや、クエンカ、グアヤキルといった同国の主要3市を中心に大規模なストを行った。
このストでは、抗議者と、警備に当たった警察との対立もエスカレートした。キトでは、市中央部の、行政府の入っている庁舎前にある「武器の広場」で争いが激化。官公庁の警備を行う警官が実弾も使う危険な状態に発展した。市内の学校は休校、商店街でも閉店が相次いだ。
ストが暴力的なものとなり、混乱が拡大したことを受け、レニン・モレノ大統領は3日、60日間の「非常事態宣言」を出し、暴力を禁ずるとともに、軍隊の派遣を容認した。この宣言後も混乱は続き、4日の逮捕者は370人に及んだ。
このストの後もモレノ大統領は「補助金制度が国の経済をおかしなものにしている」とし、修正の意向を示していない。
今回のストの背景には、モレノ政権と前大統領のラファエル・コレア氏の政治上の対立があるようだ。両者は同じ左派政党所属だったが、モレノ氏が野党と組んで経済修正路線を進めようとしたのに対し、党を離脱して権力復帰を目指すコレア氏らが国民の不満を利用したとみられている。
5日以降のデモは先住民中心で、軍との衝突も発生。道路封鎖やピケ解除に向かった兵士が退去を強いられた他、死者も1人出た。ガソリン値上げに伴う物価上昇も顕著で、6日には食料品価格を吊り上げた商店主ら20人が逮捕された。