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難民と移民のサッカーW杯開幕=「日本人の参加も大歓迎」=決勝戦は20日、パカエンブー

『第6回難民と移民のW杯』サンパウロ大会の開幕式で、主催、後援の代表らとユニフォームを受け取った16カ国チームのキャプテン(Foto e Texto : OURA Tomoko)

 NGOアフリカ・ド・コラソン主催、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国際移住機関(IOM)、サンパウロ市及び数社の民間企業が後援する『第6回難民と移民のサッカーW杯』サンパウロ大会の開幕式が4日、サンパウロ市パカエンブー競技場の講堂で行われた。5、6日にはセントロ・オリンピコで16カ国のチームの4強決定戦が行われ、勝利したギニアビサウ、コンゴ民主共和国、ガンビア、ニジェールが13日と20日の準決勝と決勝戦に挑む。

 同NGOの副代表で近大会のコーディネーターを務める、シリア出身のアブドゥルバセット・ジャロール氏(29)は、「このW杯のテーマは人間。『国境を越えられる言語』としてのサッカーを通じて、難民や移民の現実を示し、偏見や差別、外国人嫌悪を打破する一歩となることを目指しています」と開幕式であいさつし、イベントのサポーターたちに感謝の意を表した。
 今年のテーマは『生まれ育った国を後にした人の話を聞いて』。難民や移民が大会を通して少しでも注目を浴びることで、労働市場に参入できる機会を高めることに期待が寄せられている。
 4日の開会式では主催、後援の代表あいさつの後、サンパウロ大会に出場する16カ国のチームのキャプテンが壇上でユニフォームを受け取った。同大会出場国はギニアビサウ、タンザニア、レバノン、マリ、ベネズエラ、カメルーン、韓国、コンゴ民主共和国、トーゴ、コロンビア、ハイチ、ガンビア、アンゴラ、ナイジェリア、ニジェール、ベニン。
 14年に始まった同W杯は、難民と移民の統合を目的とした最大のスポーツプロジェクト。サンパウロで始まり、年々規模を拡大し、今年はブラジリア、リオ、レシフェ、ポルトアレグレ、クリチーバでも地方戦が開催され、各地の優勝チームは11月にリオで全国1位を競う。
 ブラジル全体では39カ国46チーム、約1120人の選手が参加する。選手は難民(難民申請者および認定難民)および移民で構成されている。昨年の全伯一決定戦では難民と移民で結成されたマライカ・チームが優勝した。サンパウロ大会の責任者であるギニアビサウ出身のブライマ・マネ氏は「日本移民の参加も大歓迎」と移住者に開かれたイベントであることを強調した。

『フェイラ・クルトゥラル』でアフロミュージックに合わせて踊る人々(Foto e Texto : OURA Tomoko)

 6日にはサッカー試合のほかに、難民や移民の出身国の音楽、ダンス、食などを紹介する『フェイラ・クウツラル』も開催された。20日のパカエンブー競技場での決勝戦は入場無料だが、1キロの食料の寄付が必要。詳細は後日公開されるフェイスブックのCopa dos Refugiados e Imigrantesで。(大浦智子さん通信)


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 『難民と移民のW杯』で印象的なのは、試合前や勝利した時のアフリカンの力強い歌声やアフロステップだ。出身地のアフリカ諸国の社会は困難でも、アフリカの難民や移民は生命力にあふれている。FIFAが主催する本物のW杯では対戦することのない国々のチームと、ブラジル在住の日本人サッカー愛好者との対戦も、いずれ見てみたいもの。なお、同W杯への出場申し込みは毎年年始に開始するとのこと。