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米国=ブラジルのOECD入り推薦を反故?=3月のトランプ氏の約束と矛盾=ブラジル側が騒いですぐに否定も=アルゼンチンとルーマニアの優先変わらずか

3月の首脳会談の際のボルソナロ、トランプ両大統領(Isac Nóbrega/PR)

 10日、ブラジル国内で「米国政府が経済協力開発機構(OECD)の加盟国としてブラジルを薦めなかった」と報じられ、連邦政府関係者が大慌てとなった。それは、3月にトランプ大統領がボルソナロ大統領と約束したことと矛盾するためだ。米国政府やトランプ大統領はその後、その報道を否定したが、「引き続き支援する」との発言にとどまっている。11日付現地紙が報じている。

 「ブラジルのOECD入りがなくなった」との報道は、国際的な金融報道機関「ブルームバーグ」の報道を受けてのものだった。
 それによると、米国のマイク・ポンペオ国務長官は、「アルゼンチンとルーマニアの加盟を推薦する」と記した書類を、8月28日に送っていたという。
 これはボルソナロ政権にとって大きな痛手だった。ボルソナロ氏にとって、かねてから敬愛していたトランプ政権との良好なつながりは連邦政府最大のアピールポイントのひとつで、トランプ大統領がOECD入りの推薦を持ちかけたことを訪米最大の成果のようにも謳っていたからだ。
 ボルソナロ政権では、3月に合意に至ったメルコスルとEUの自由貿易協定に関しても、ボルソナロ大統領の環境対策への不満から、フランスとアイルランドが調印を拒否していると報じられている。そんな矢先に流れたのが、今回のOECDに関する報道だった。
 この報道により、ブラジル国内には大きな反応が起きたが、米国政府側はこの騒ぎを落ち着かせようとするように、「米国政府はまだ、ブラジルのOECD入りを継続して推薦する」との声明を出した。また、トランプ大統領もツイッターで、「ブルームバーグの報道はフェイクニュースだ」と言って否定した。これを受けて、ボルソナロ大統領は「ブラジルのOECD入りはもうすぐそこだ」と語った。
 だが、この訂正声明以降も、OECDに提出した資料が書き換えられることはなく、ブラジルのOECD入りの推薦がどのようなタイミングで行われる予定かの言及もされていない。
 これらの流れを受け、OECDのアンヘル・グリア事務総長は、今後のOECD加盟申請の順番を、「アルゼンチンは今すぐ、ルーマニアが2019年12月、20年5月にブラジル、同年12月にペルー、21年にクロアチアの順で進めてはどうか」と逆提案を行った。
 OECDは現在36カ国が加盟しており、これに入ると一般的には「先進国の仲間入りを果たした」と見なされる。トランプ大統領は3月に、世界貿易機関(WTO)離脱を条件に、ブラジルのOECD入りを後押しすることを約束していた。