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世界の日系移民資料館連携へ=第60回海外日系人大会=天皇皇后両陛下ご臨席に

式典で主催者挨拶をする飯泉嘉門海外日系人協会会長(提供・公益財団法人海外日系人協会)

 海外日系人協会(飯泉嘉門会長)は「第60回海外日系人大会」を1日から3日間、東京都で開催した。『令和の日本と国際化の懸け橋・日系社会』を総合テーマに討議が行われ、四世以降の世代にも三世同様の在留資格の要求することを再確認し、世界各地にある日系資料館同士の情報交換と連携するための連絡協議会設立など5項目の決議を宣言した。(大会宣言の全文を6面に掲載)

 節目となる60回を迎えた今大会の開会式は1日に憲政会館で開催され、天皇皇后両陛下がご臨席され、世界21カ国から約200人が参加。ブラジルからは最多の約60人、続いて米国の約40人、メキシコ24人だった。

記念式典にご臨席された天皇皇后両陛下(提供・公益財団法人海外日系人協会)

 開会式で天皇陛下は、終戦直後の荒廃した日本に海外日系人が救援物資を送ったことへの感謝の気持ちを表すためにこの大会が開始された経緯に触れられ、「その後も、阪神・淡路大震災、東日本大震災など、日本が大きな困難に遭うたびに、世界の日系の人々から温かい御支援を受けてきていることに改めて感謝の意を表します」とのお言葉を述べられた。
 さらに「在日日系人のこの30年余りにわたる経験は、今後様々な文化を受け入れながら発展していこうとする日本社会の貴重な参考になるものと考えます」と今後の関係についても述べられた。
 続いて、安倍晋三内閣総理大臣の祝辞を西村明宏内閣官房副長官が代読し「今年はペルー移住120周年、ボリビア移住120周年、コロンビア移住90周年、アマゾン移住90周年という慶賀の年」と位置づけ、「本大会を通じ、多様な世代や地域を交えた日系社会のネットワークが一層深まり、令和の国際時代に日系人の皆様が一層御活躍され、日系社会が益々発展されることを祈念申し上げます」とのべた。
 海外日系人代表としてブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長が登壇し、「特性を活かし、日系人だからこそ出来る平和的国際社会への貢献の仕方を、この大会を通して構築していければと考えております」と挨拶した。
 その後、アンジェロ・イシ武蔵大学教授が「在日日系30年の歩みと日本の多文化共生」をテーマとする基調講演を30分あまり行った。
 翌日からはJICA市ヶ谷ビルに会場を移し、国際シンポジウム第1部「在日日系30年の経験―日本社会の内なる国際化を見据えて」という公開討論会(進行役=堀坂浩太郎上智大学名誉教授)などが行われた。
 第2部「日系資料館の連携を考える―レガシー(遺産)を共有するために」(進行役=柳田利夫慶応義塾大学名誉教授)には、6カ国の代表が参加。移民史は世界の日系人の共有財産であり、日系資料館同士の情報交換と連携を密にするために「日系資料館連絡協議会」の設立が提言され、サンパウロ市のブラジル日本移民史料館で来年シンポジウムを開催することになった。
 第3部は「日系社会との連携を考える―ネットワークとアイデンティティを生かして(ビジネス、文化、地方創生)」で、討議内容を元に5項目の大会宣言が取りまとめられた。夜は外務省飯倉公館で外務大臣主催歓迎レセプションとなった。
 最終日は在日日系人スピーチ「10年後の私」と大会宣言を発表して閉会し、衆参両院議長主催昼食会をもってなごやかに終了した。