ブラジル沖縄県人会・ブラジル沖縄文化センター(上原定雄会長)は「第42回琉球古典音楽コンクール・第39回琉球舞踊コンクール」を6日午前10時から、リベルダーデ区の県人会本部大サロンで開催し、約150人が訪れた。
古典音楽の部門では非日系人の躍進が顕著で、特に最高賞では1位が他県人(配偶者)、2位が非日系となり、伝統芸能界における新時代の到来を感じさせる大会となった。
午前中の琉球古典音楽の部門には新人賞6人、優秀の部1人、最高賞2人の計9人が参加し、うち非日系が3人でみな合格するという活躍を見せた。結果は次のとおり。【新人賞】1位=田野美恵子、2位=新城盛久、3位=勢理客(しりきゃく)トヨ、4位=サンチ・レオネロ。【優秀の部】ペガウ・チアゴ。【最高賞】1位=安慶名ユカ、2位=プロエンサ・クリスチアン。
5年以上優秀な成績をとり続け、教師が許可すれば、教師資格を沖縄本部に申請する手続きがとれ、すでに10人ほどが教師になったという。
今年の挑戦者は9人だが、2007年には70人いた。知念直義実行委員長は「あの頃は人数が多かったから、古典音楽と琉球舞踊のコンクールは別々にやって、それぞれ一日掛かりだった。一緒になって7、8年かな」と往時を懐かしんだ。「でも非日系は昨年2人、今年は3人と増えている。すごく一生懸命で、我々としても喜び一杯」と笑顔を浮かべた。
その一人ペガウ・チアゴさんに三線を始めた動機を尋ねると、「妻が沖縄系三世で、その実家に遊びに行ったら彼女の祖父(故人)が使っていた三線があり、気になっていた。僕もギターを弾いていたから、見たこともない楽器に興味が湧き、ある時挑戦してみた。ギターは弾くだけだが、三線は歌も同時にやらなきゃいけない。もっと難しいが、やりがいがある」と語った。
午後の琉球舞踊コンクールでは、美しい紅型衣装をまとった女性出場者6人が気合の入った踊りを披露し、全員合格した。婦人の部新人賞=宜志富よしみ、一般の部新人賞=宮城マリアナかおり、天願ゆり、婦人の部優秀賞=池原明子、一般の部優秀賞=當真ステファニー千晶、一般の部最高賞=知念ルアナひかり。最後に知念直義さんから全員に認定証が手渡された。
城間和枝審査委員長にコメントを求めると、「80年代には新人賞だけで20人いた。隣の人を見ながら踊れる団体舞踊と違って、一人で踊るから、一年間みっちり練習しないと合格レベルに達しない。人数こそ減ったが、みな完璧に踊っていた。レベルの高い大会だった。来年はもっと人数が増えるはず」と意気込んだ。
□関連コラム□大耳小耳
琉球舞踊コンクールの一般の部最高賞で知念ルアナひかりさんが踊った「諸屯(しゅどん)」が、手をあまり動かすことなく、情のこもった眼差しをあちこちに送り、ゆっくりした動作で回る所作を繰り返した。身体ではなく顔の表情で表現するような不思議な踊りだ。城間審査委員長に聞くと、「諸屯は、話したくても話せないような、誰にも伝えられない想いを表現する踊り。一つ一つの動きに沖縄の風土が込められているんです」とのこと。解説してもらって初めて納得。世の中、体全体をバンバン動かす踊りが普通であり、「目やアゴの動き」を中心にする踊りは滅多にない。踊りとパントマイムの境界線上にあるような深みを感じさせる踊りだった。