13日、ブラジルの女性としては初めてのカトリック教会における聖人、イルマン・ドゥウセ(ドゥウセ・ロペス・ポンテス修道女、1914~1992年)の列聖式が、バチカン市国のサンペドロ広場で、フランシスコ法王の司式の下で行われた。14日付現地紙が報じている。
ドゥウセの列聖式は、現地時間の13日午前10時34分(ブラジリア時間午前5時34分)から行われた。この日、聖人に認定されたのは5人で、サンペドロ広場に集まった全世界からの参列者5万人は、これら5人が聖人として認定される瞬間を見守った。
式はアンジェロ・ベッチウ大司教が、ドゥウセを含む5人の聖人化を求める形で行われた。
他の4人は英国のジョン・ヘンリー・ニューマン枢機卿(1801~90)、スイスのマルグリット・ベイズ氏(1815~1879)、イタリアのジュゼッピナ・ヴァンニーニ修道女(1859~1911)、インドのマリア・テレーザ・チラメル修道女(1876~1926)だ。
続いてフランシスコ法王がラテン語で5人の列聖を行ったが、法王は今回聖人となった5人中、3人が修道女であることに触れ、「信仰に身を捧げた人生が、世界の辺境に至るまで愛を行き渡らせることを示している」などと語った。
ドゥウセは生前、バイア州を拠点に自身の財団を興して貧しい人々の救済につとめ、1988年には時のジョゼ・サルネイ大統領からノーベル平和賞候補にも推薦されている。
死後27年での聖人化は、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世(1920~2005)、インドの修道女、マザー・テレサ(1910~1997年)に次ぐ、史上三番目の早さとなる。
聖人化のためには、生前に2度「奇跡」を起こしたことが認定されなければならない。
ドゥウセの場合、一つ目の奇跡は、2001年1月11日にセルジッペ州で起きた、出産後、18時間も出血が止まらなかった女性の血を止めたこと。これがドゥウセの関連施設でのことだったため、同年に奇跡と認められた。
もうひとつの奇跡は、2014年にバイア州の男性が、緑内障で失明後14年間、痛みにも苛まされていたのに、彼女の聖像を目に当てて祈ったところ、突然見えるようになったこと。これが今年、奇跡と認定されたことで聖人と認められた。
この列聖式には、ブラジルからはアミウトン・モウロン副大統領、ダヴィ・アルコルンブレ、ロドリゴ・マイア上下院議長、ジアス・トフォリ最高裁長官、アウグスト・アラス検察庁長官、ジョゼ・サルネイ元大統領、ドゥウセの出身地サルバドール市のACMネット市長などが参加した。ボルソナロ大統領は22、23日に行われる天皇陛下の即位の礼出席のための日本訪問はじめ、アジア・中東歴訪の準備を理由に参加を見合わせた。