【既報関連】ブラジル北東部の海岸への原油漂着は1カ月半を経ても続いており、セルジッペ州で最初に原油の塊が発見されたピランブ海岸では、14日朝も新たな原油の塊が漂着したと14日付現地紙サイトが報じた。同州環境管理局(Adema)によると、同州では9月24日以降、100トン以上の原油が回収されている。
ピランブ海岸の清掃と監視は生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)が担当しており、9月25日以降、同研究所職員15人とペトロブラスの外注職員15人が現地での活動を続けている。
同州の海岸は17カ所で海岸線は193キロに及ぶが、全ての海岸が汚染されている。海岸線の内、119キロは非政府団体Tamarによる、ウミガメ繁殖のための観察区域となっている。
Ademaによると、14日にみつかった原油塊は小さめで、量も決して多くないが、原油漂着が続く間は海岸の利用を避けるよう、海水浴客らに指導しているという。
他方、リカルド・サレス環境相は12日、9月26日に同州のアタライア、フォルモーザ(アラカジュー市)と、ジャトバー(バーラ・ドス・コケイロス市)の3海岸で発見されたドラム缶に関し、Shell社に対して説明を求める通達を出すようにと国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)に要請した。
ドラム缶にはロゴマークが入っており、中身は潤滑油である事を示す表示がある。海軍の調査機関は9月30日、缶内の物質は海岸に漂着した原油とは異なる特性を持っており、漂着原油とは無関係と発表した。
だが、セルジッペ連邦大学が12日、缶の中身は潤滑油ではなく、海岸を汚染している原油と同じ特性の原油と発表。環境相がIbamaにShellへの通達を要請したのはこのためだが、調査関係者は、缶自体は再利用されただけの可能性を指摘している。
なお、汚染源に関しては一時、ブラジルの近海で海洋投棄された可能性が囁かれていたが、海洋物理学者らのシミュレーションや海軍が洋上で油のしみなどを発見できていない事などから、北東部に漂着した原油は、ペルナンブコ州やパライバ州から500~1千キロ沖の水面下で流出している可能性も指摘されている。
これらの情報から、タンカーの難破、以前難破したタンカーの中身が現在になって漏れ始めた、タンカーからタンカーに詰め替える時の事故が原油流出の原因と考えられるという。それ以外に、船名を変えたり、レーダーを切るなどして所在や正体を隠す「幽霊船」が関与している可能性もあるという。
なお、Ibamaによると、12日までに原油が漂着した海岸や川は、9州161カ所に至っている。
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