長期化した景気後退期を抜けたとされた17年第1四半期以降も、ブラジルの経済活動は低迷したままで、ブラジルの国内総生産(GDP)の成長率は0・87~0・9%の見込みだと14、15日付伯字紙、サイトが報じた。
14日は、ブラジル中央銀行が金融機関を対象に行う動向調査(フォーカス)の結果と、同中銀の経済活動指数(IBC―Br)が発表された。共通しているのは、今年のGDPの伸びは緩やかで、1%程度の成長に終るとの見方だ。
GDPの先取り指数のIBC―Brは、8月に前月比0・07%高の138・36ポイントを記録、7月の0・07%低下分を埋めたに過ぎない。今年に入ってからの同指数の伸びは8カ月間で3回のみで、中銀は今年のGDP成長率は0・9%と見ている。
フォーカスも今年のGDPの伸びは0・87%と予想しており、17、18年に続き、1%前後の成長に止まりそうだ。
経済基本金利(Selic)は下がり続け、勤続期間保障基金(FGTS)の資金解放なども行われているのに経済活動が活性化しないのは、政治的な状況も含めた先行き不透明感が拭えない事や、国際的な景気低迷の影響もあるようだ。
ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所が算出する経済不確実性指数(IIE―Br)をみると、17年1月以降の33カ月間で、不確実性が高いとされる110ポイントを切ったのは10回のみ。政治的な混乱などで先行き不透明感が募れば、外国人投資家の投資熱が下がる。
16年の歳出上限法制定や18~19年のボルソナロ大統領の当選と就任、社会保障制度改革案の前進なども明確な指数低下には繋がっていないという。
また、米中貿易戦争などに伴う世界経済の低迷やアルゼンチンの経済危機などの影響も大きく、経済活動や雇用を促進すべき工業界のIBC―Brは右肩下がりままだ。
工業が活性化しきらない中でGDPの成長を支えているのは、家庭消費や商業、サービス業だ。ただ、失業率が高止まりし、非正規雇用の割合が増えている中での家庭消費の伸びは限度がある。
サービス業のIBC―BRは右肩上がりだが、商業の方は右肩下がりで、ここ数カ月で若干回復を見せたに過ぎない。
そんな中で明るい話題は、全国財・サービス・観光商業連合(CNC)が14日に発表した、歳末商戦時の臨時採用者は91万人で、6年間で最多との見通しだ。歳末商戦の売上は359億レアルの見込みで、衣類販売店やスーパーの臨時採用は各々、6万2500人と1万2800人と見られている。
先日はブラックフライデーでも売上増加との予測が出ており、FGTSの払い出しが家庭消費を促している様子が窺われるが、消費の伸びが工業生産にも反映され、経済活動や雇用が目に見える形で改善するのは来年以降と見られている。