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《ブラジル》18年に所得格差が拡大=統計開始以来最大の差に=富裕者は富み、貧者は失う

格差拡大で貧困層の人達の暮らしはより厳しさを増した(Fernando Frazão/Agência Brasil)

 地理統計院(IBGE)が16日、18年の所得格差は3年ぶりに拡大し、12年の統計開始以来、最大の差となったと発表したと同日付現地紙サイトが報じた。
 全国家庭サンプル調査(PNAD)による所得格差の統計は12年から始まり、イタリアの統計学者が考案したジニ係数による記録が残っている。ジニ係数は0~1で表され、0は格差ゼロを示す。また、1に近づくほど格差が拡大する。
 昨年のジニ係数は0・509で、12年の0・508を若干上回った。他の年は、13年0・502、14年0・501、15年0・494と下がったが、16年は0・501に上昇、17年は横ばいだった。
 専門家の中には、「ブラジルは元々、格差社会で、富の集中が激しい国の中では上位10番以内に入る」と見ている人もいる。
 そんな実態を示す一つは、人口の1%に当たる富裕層の平均月給は2万7744レアルで、所得が低い方から見て人口の半分を占める人の平均月給(820レアル)の33・8倍との数字だ。17年は31・2倍だった。
 また、1%の富裕者の給与は前年比8・4%増えたが、人口の5%にあたる極貧者の平均月給は3・2%減の158レアル。全体の平均月給は2234レアルで、前年の2107レアルより若干増えた。
 地域別に見ると、最も格差が大きいのは北東部で、ジニ係数は0・520。以下、北部0・517、南東部0・508、中西部0・486、南部0・448と続く。北東部のジニ係数は17年の0・531より下がったが、同地域では全階層で所得が減った。他の地域は皆、18年のジニ係数が17年を上回り、社会格差が拡大した。
 年金や恩給、家賃なども含めた実質所得の総額は、2649億レアルから2777億レアルに増えたが、43・1%は収入が多い方から10%の人が受け取ったもので、収入が少ない方から10%の人が受け取ったのは0・8%のみ。収入が少ない方から80%の人の受領分は41・2%だった。
 実質所得の72・4%は給与所得で、前年の73・1%を下回り、失業者や非正規雇用者が増えた事を裏付けた。また、年金や恩給が占める割合は20・5%で、前年の19・9%を上回った。年金や恩給の割合が高いのは高齢化が進む南部や南東部だった。
 また、生活扶助受給世帯は13・7%で、12年の15・9%や14年の14・9%と比べ、減少傾向にある。北東部の生活扶助受給世帯は28・2%、北部は25・4%を占めていた。
 所得格差は性別や肌の色、学歴などでも生じ、女性の平均月給は男性の2460レアルを21・2%下回る1938レアル。黒人や北東部在住者、低学歴の人も、他の条件の人より平均給与が低かった。