16日夜、社会自由党(PSL)の下院議員らが突如、ヴァウジール・デレガード下議の同党下院リーダー更迭を要求、エドゥアルド・ボルソナロ下議が新リーダーに選ばれた。これはボルソナロ大統領が下議たちに命令して行わせていたもので、同大統領と対立している同党党首のルシアノ・ビヴァール氏との亀裂をさらに深めることが決定的となった。17日付現地サイトなどが報じている。
ボルソナロ派のPSL下議たちは16日夜、エドゥアルド・ボルソナロ氏を新しい政党リーダーに就けるよう求める署名を集め、同党下院リーダーのヴァウジール氏の降板を求めた。
下院政府リーダーのヴィットール・ウゴ下議(PSL)は同夜、53人の同党議員中、27人がエドゥアルド氏をリーダーに所望したとし、リーダー交代を告げた。
これは寝耳に水的な行動であったため、ヴァウジール派の下議たちがあわてたが、32人の署名を集めたリストを作成し、「ヴァウジール氏はもっと多くの署名を獲得した」と主張。同党下議は53人なのに、二つのリストの総計は59人となることもあり、下院議長団はリストを精査することにした。
今回の交代劇の背景には、先週から勃発していたボルソナロ大統領とビヴァール党首との対立がある。ヴァウジール氏は二人の対立が明るみに出はじめたときから、常にビヴァール氏をかばう発言を続けており、PSLの汚職を批判するボルソナロ氏に対しても、「ではフラヴィオ氏はどうなのか?」と、収賄疑惑のある大統領長男を皮肉る発言も行っていた。
また、今回のエドゥアルド氏を新リーダーとする動きがボルソナロ氏によるものだったことは、党内の関係者が録音したと思しき電話での会話で明らかになった。会話の内容は公表され、既に大手の報道メディアで流されている。
それによると、ボルソナロ氏は「我々だけで26人いる。あともう1人いればいい」「本当は選挙による選出がいいんだが、今はこういうやり方しかできないからな」と語り、大統領自身がこの交代劇に積極的に関与したことをうかがわせている。なお、下院での正規の党リーダー選出は12月に行われるので、ヴァウジール氏の交代は2カ月先でも可能だった。
ボルソナロ氏は17日、「この件に関しては公的な場での議論はしない」とし、この録音に関しても「そんなものは偽物だ」と一蹴した。
ビヴァール氏は17日午後3時現在も同件に関するコメントを出していないが、エスタード紙の報道によると、ボルソナロ氏が離党した場合、PSLと民主党(DEM)が合併に向けて動くのではとの憶測が流れはじめているという。
なお、下院議長団は17日午後、二つのリストを精査した後、同党リーダーはヴァウジール氏との見解を明らかにした。