【既報関連】社会自由党(PSL)のボルソナロ大統領派が16日の夜起こした、同党下院リーダーに大統領三男のエドゥアルド下議を据え、ヴァウジール・デレガード下議を引きずり下ろす計画は失敗に終わり、ヴァウジール下議留任が決まった。その後、ルシアノ・ビヴァール党首による報復も行われはじめている。17日付現地紙が報じている。
エドゥアルド氏の下院リーダー就任は、16日夜、下院政府リーダーのヴィットル・ウゴ下議によって宣言された。それに対し、17日の昼過ぎには、下院議長団がヴァウジール下議支持派のリストを正式に承認、ヴァウジール氏の党下院リーダー継続が決まった。
17日には、ボルソナロ大統領が自分を下院リーダーの座から引きずり下ろそうとしていることを知ったヴァウジール氏が、いきり立って行った党内会議での発言がメディアで一斉に報じられた。16日夕方に行われた秘密録音で、同下議は大統領を「ヴァガブンド」と呼んでおり、「誰が一番、大統領に忠実だったと思っているんだ。こっちには録音もある。大統領なんてぶっ飛ばしてやる(implodir)」と息巻いたことが暴露された。
その後、取材陣にこの録音の件を問われたヴァウジール氏は、「あれは感情的な発言だった」と撤回している。
だが、PSL党内でのビヴァール氏による逆襲はもうはじまっている。まず、ボルソナロ派の急先鋒のカルラ・ザンベッリ、アレ・シウヴァ、ビボ・ヌーネスの3下議、ドグラス・ガルシア・サンパウロ州州議の4人に「党内の倫理を乱した」として、謹慎処分を発表した。
18日の臨時党大会では、前記3下議と、カルロス・ジョルディ、フェリッペ・バロスの計5下議に党選出議員としての活動停止を決めた。これにより、この5人は、議会での発言や党大会での役員選挙への参加などが禁じられる。
また、ボルソナロ氏長男のフラヴィオ氏とエドァウルド氏は各々、17日にリオ州支部長とサンパウロ州支部長の解任予告を受けている。州支部人事は今週末に正式に協議される。
エドゥアルド氏に関しては、7月からの懸案事項の駐米大使就任の話が「当面は進展なし」ということにもなった。大統領は18日も、「まだ断念したわけではない」と語っているが、上院でのサバチーナ(試問)は当面行われず、就任は難しくなっている。
こうした状況下、ボルソナロ大統領は17日、議会政府リーダーのジョイセ・ハッセルマン下議の降板を宣言。ジョイセ氏はビヴァール派で、サンパウロ州支部内でのエドゥアルド氏との対立が以前から報じられていた。ジョイセ氏の後任はエドゥアルド・ゴメス下議(民主運動・MDB)と発表されている。
ジョイセ氏は来年のサンパウロ市市長選を狙っているが、ビヴァール派とボルソナロ派との対立に巻き込まれ、その話も暗礁に乗り上げている。