【既報関連】8月30日から北東部の海岸に漂着している原油は、一時的に減ったかと思われたが再び増え、バイア州サルバドール市の沿岸などでの汚染が拡大していると17、18日付現地紙、サイトが報じた。
17~18日に新たな原油漂着が確認されたのは、アラゴアス州北部のマラゴジ海岸やサルバドール市ファロル・ダ・バーラ地区、ペルナンブコ州のカルネイロス海岸などだ。
アラゴアス州では、12市が16日までに原油汚染が起きた自治体リストに挙げられているが、実際にはポルト・デ・ペドラス市の海岸でも汚染が確認されている。
また、サルバドール市では、10~16日に回収された原油の塊は37キロだったのに、17日には26トンに達した。
ペルナンブコ州では、17日にサンジョゼ・ダ・コロア・グランデ市のウナ川河口付近で直径1メートルに及ぶ原油塊を確認。18日にもタマンダレ市のカルネイロス海岸に黒い塊が散在している事が確認された。カルネイロス海岸は環境保護区に属している上、同州でも有数の観光客が集まる場所の一つだ。
北東部海岸での原油漂着量は、海流や風向きなどで変化するため、一時的に減ったり途絶えたりしたかに見えていた場所にも原油の塊が再び現れたり、大量に押し寄せたりするようだ。
砂浜の場合は原油の回収も比較的容易だが、岩場の場合は岩肌からはがしにくい上、満潮で原油が再び海に戻るのを避ける必要があり、各自治体が時間と競争しながらの対応を求められている。
また、ペルナンブコ州などでは、海岸への原油漂着を回避すべく、船舶による巡視や回収作業も行っている。
原油の流出源はまだ未確定だが、リオ連邦大学の研究者達は17日、原油の漂着点から逆算した結果、ブラジルの沖合い600~700キロが流出源である可能性が高いと発表。他の専門家も、400キロ以上沖が流出源と見ている。また、複数の専門家は「今回の原油汚染はブラジルの海岸部では史上最大の環境破壊で、回復には数十年を要する」と見ている。
17日の上院環境委員会で、汚染源や責任者が特定出来ていない事や、効果的な対策が打てずにいる事を指摘された国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)のエドゥアルド・ビン院長は、今回のような出来事は世界でも初めてで、原油の漂着を食い止めるのは非常に困難との見解を明らかにした。
リオ連邦大学の研究者も、海洋に流出した原油は最初の内こそ海面を漂流するが、時間と共に重たくなって沈むため、海面から姿を消し、軌跡を追うのが困難になると説明している。