サンパウロ日伯援護協会(与儀上原昭雄会長)は「10月度定例役員会」を17日、サンパウロ市の援協本部ビルで行い、約35人が出席した。
19日の定期評議員会に先立ち、サンパウロ日伯援護協会(以下聖援協)、日伯福祉援護協会(以下福祉援協)両会の来年度の事業計画案と予算案が発表され、出席者の拍手により承認された。定期評議員会で承認されれば、正式に案が認められる。
聖援協は日伯友好病院など医療機関と自閉症児療育施設(PIPA)を束ね、福祉援協はさくらホームなど高齢者養護施設を管理する。
聖援協では、日伯友好病院やサンミゲル・アルカンジョ病院の改修・拡張工事を行い、現在土地を借りて運営しているPIPAを、援協所有地に新施設を建設して移転させるなどの事業予算が1億2604万レアル。その他、病院の運営費などを含め、支出は5億7218万4千レ。収入も同額。
福祉援協では、さくらホームの増築に加え、やすらぎホームを終末期ケア施設に建て替える計画がある。後者は9月末で全入居者を他の施設へ移し、現在すでに運用されていない状態だ。
それに7月初旬に運営を終えた奄美事業所を、通所介護(デイケア)施設にする建設計画などもあり、事業予算は666万8千レで、その他施設運営費などを含めると、支出は2218万8千レ。収入も同額。
ただし、やすらぎホームと奄美事業所の建て替え計画は予算を計上したのみで、いつ実行するかは協議中。
具志堅茂信・聖援協副会長(78、沖縄県)にサンパウロ州サンミゲル・アルカンジョ市から名誉市民章が授与されることが決まったと報告された。
同氏は援協職員として長年勤め、サンミゲル・アルカンジョ病院建設の際には、事務局長として市と援協間の調整などに尽力。病院の運営開始後も初期運営委員として同地の医療サービス向上に貢献した。授与式は11月1日に同市議会にて行われる。
日伯友好病院を除く9月度決算は63万5574レの赤字を計上したが、同病院を含む全体では1218万7245レの黒字となった。
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17日に行われた援協の「10月度定例役員会」で出された終末期ケア施設、通所介護施設の建て替え計画は目新しい。2つの案は現在「協議中」で、実現はまだ先かもしれない。だが、援協関係者によれば「ブラジルにはこれらの施設はあまり普及しておらず、事業計画案は実現の可能性が高い」とのこと。日本では普及しつつある両施設だけに、日系社会が先頭に立って日本の先進的な福祉サービスを、JICA福祉ボランティアなどを通して取り入れ、ブラジルの福祉レベルをより上げてもらいたいところ。