17日に一度無効とされたエドゥアルド・ボルソナロ下議の社会自由党(PSL)の下院リーダー就任が、21日に了承された。それまでの下院リーダー、デレガード・ヴァウジール下議も禅譲を宣言したが、同党党首のルシアノ・ビヴァール氏には寝耳に水の展開であったことから、党内のボルソナロ派とビヴァール派の対決はさらに泥沼化しそうだと、22日付現地紙が報じている。
政府下院リーダーのヴィットル・ウゴ下議が下院議長団にエドゥアルド氏を同党の新リーダーとするためのリストを提出したのは21日午前10時頃だ。エドゥアルド氏側の下議たちの署名は32人分あり、下院議長団が確認した結果、3人分がだぶり、1人分は無効となったが、同党下議53人中28人と過半数の賛同と得ていたため、下院議長団は昼過ぎに、エドゥアルド氏を同党の下院リーダーとして承認した。
他方、ヴァウジール下議は午前11時45分にビデオを公表した。同氏はそこで自身の敗北を認めただけでなく、党幹部会が、18日に停職処分を受けたエドゥアルド氏派の下議5人の停職を解くはずだとも語った。
だが、この展開は、党首のビヴァール氏や党内の同氏の派閥にはまったくの寝耳に水だった。なぜなら、ビヴァール氏はこの日の朝7時頃、大統領府のルイス・エドゥアルド・ラモス秘書室長官から、「どちらでもない第三者を新リーダーに据えてみてはどうか」という和解案を提案されていたためだ。
さらに、エドァウルド氏に関しても、PSLは18日にもサンパウロ州支部長を解任させようとしていたが、「5日間の異議申し立て期間をもうけよう」と処分を延期していた矢先のことだった。
リーダーに承認されたエドァウルド氏は、午後5時50分にビヴァール派の副リーダー12人全員の解任を宣言した。
さらに、18日に停職処分になっていた5人の下議も午後7時頃、最高裁に出向き、ロドリゴ・マイア下院議長に処分解除を命じるように求める嘆願書を出した。
だが、PSLの党幹部は午後7時20分に党の中央委員会を開いて党内の倫理委員会を開設することと委員の選出を行い、最大で19人の党員を処分する可能性を示唆している。
同党の倫理委員会は22日にブラジリアで開催された。
一方、日本滞在中のボルソナロ大統領は21日、PSLの現状について、「危機なんてない」「傷は自然と癒えるものだ」と語った。今回の三男エドゥアルド氏の下院リーダー就任問題に大統領自身が関与していたことは、既に、録音された電話の会話が17日にメディアで公表され、話題となっていた。
大統領は22日も、エドゥアルド氏に関して、「国内にいてPSL内部を治めることに尽力してもらいたい」と語っており、米国大使指名の件は当面先送りされることを示唆した。