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《ブラジル》海岸汚染の原油を炭に変換=セメント製造や建設などで再利用?

原油から出来た炭素化合物(Divulgacao/UFBA)

 8月30日以降、ブラジル北東部9州の海岸などに漂着し、海洋性の動植物や産業などに多大な影響を与えている原油を、炭素化合物(炭)に変えて、再利用する試みが行われている。
 厄介物の原油の一部を再利用する試みは、バイア州連邦大学(UFBA)の化学研究室で行われている。
 UFBAによると、化学研究室で開発した生物反応促進剤(酵素)を使うと、有機化合物の分解が早まり、原油も60分で炭に変わるという。
 UFBAのゼニス・ノヴァイス・ダ・ロッシャ教授は、「我々は生の食材や調理後の食材の残りを分解するのにも酵素を使っており、椰子の実から有機肥料を作ったりもしている。我々が開発した酵素が食物の残りや椰子の実を分解するのに威力を発揮するなら、原油にも有効だと判断したところ、予想通りの結果が出た」と説明している。
 この研究室で使っている機械は1日40キロの原油を炭に変える事が可能で、現在は、16日にボランティア達が持ってきた原油を使って実験を行っている。原油はこれからも同研究室に届けられる予定だ。
 同教授によると、アセトンとおがくず(または市販のアルコール)を混ぜて大型ミキサーに入れ、酵素を加えてから原油を投ずると、分解が進み、炭が出来るという。
 ロッシャ教授によると「反応促進剤は酵素だから土壌や植物、動物の組織を破壊しないし、効果的だ」という。
 酵素によって分解して出来る炭は、木炭とは形状が異なる。原油から出来た炭の効果的な利用方法確定には、今後の研究を待つ必要があるが、現在は、木炭のような燃焼効果があるか、工場の機械を動かす動力源として使えるか、アスファルトや建設現場で使うコンクリートブロックに混ぜて使えるかなど、複数の用途が考えられている。
 このプロジェクトは、人類がもっと環境保護に心を向ける事を願うフランシスコ法王の要請に従い、「フランシスコ・コンポスト・プロジェクト」と名付けられた。
 なお、ブラジル海軍が21日に発表したところによると、18日から20日にアラゴアス、バイア、ペルナンブコの3州で回収された原油だけで525トンに上る。国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)は、原油汚染が起きている海岸は9州で200カ所を超えている事も明らかにした。(21日付UOLサイト、同ヴァレラ・ノチシアスなどより)