上院で22日、年金受給開始年齢などを含む社会保障制度改革案の基本文書が、60対19で2度目の承認を受けた。これにより、年金受給開始年齢は男性65歳、女性62歳となる。23日付現地紙が報じている。
社会保障制度改革に関する審議は23日も続き、修正動議二つの投票が行われた。だが、22日の投票により、最も大きな懸案事項だった受給開始年齢が、法案審議開始から8ヵ月で遂に確定することになった。
従来のブラジルの年金制度には受給開始の最低年齢の規定はなく、男性は勤続35年、女性は30年で受給が可能だった。
ただし、既に働いている人か、これから働き始める人かによって、適用される基準が異なる。
既に働いている人は、(1)積立年数と年齢を足した数字が2019年は男性96、女性86から受給(男性105、女性100まで、毎年数字が1ずつ増える)、(2)男性が35年、女性が30年以上積み立てている場合、19年は男性61歳、女性56歳で受給(男性65歳、女性62歳まで、毎年0・5歳ずつ増える)、(3)積立年数の不足分が2年未満の人は足りない年数の半分の期間働いて受給、(4)積立期間が15年以上で65歳以上の男性と60歳以上の女性(62歳未満の女性の受給年齢は来年以降、0・5歳ずつ加算)のように、複数の選択肢がある。公務員や教師、連邦警察官らは別枠で扱われる。
これから働き始める人は、一般労働者は男性65歳(最低積立期間20年)、女性62歳(同15年)で受給。公務員の受給開始年齢は一般労働者と同じだが積立期間は男女共25年だ。農業従事者は男性60歳、女性55歳で受給(積立期間15年)、教師は男性60歳、女性57歳で受給で積立期間25年、連邦警察官らは男女共55歳で受給だが、積立期間は男性30年、女性25年となっている。
また、今回の改正で、国立社会保険院(INSS)への支払額が来年2月から変更される。新しい徴収率は月給998レアル以下が7・5%、2千レアル以下は9%、3千レアル以下は12%、それ以上は14~22%と段階的に増える。給料の安い人は徴収額が減るが、給与額が多い人は負担が増える。
今回の社会保障制度改革は、「10年間で1兆2千億レアルの支出削減効果」を狙っていたが、様々な段階で譲歩していくうちに、10年間の支出削減効果は8千億レアルに縮小した。
だが、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長は22日、「国の歴史始まって以来、最大の社会保障制度改革を成し遂げようとしている」と誇らしげに語った。年金受給開始年齢の固定はカルドーゾ大統領が1995年に試みたが、それから24年を経ての達成となる。
上院は地方公務員などに関する社会保障制度改革並行案も準備しており、上院で承認後、11月中に下院に回す。並行案は年内に決着をつけ、来年2月からの本格実施につなげたい意向だ。