パウロ・ゲデス経済相が、州や市が教育や保健衛生のために割く経費の最低限度額を、二つあわせて何%という形に変更することを含む、財政と予算に関する基準変更の憲法補足法案(PEC)を準備していることが明らかとなっている。この件に関しては国民の強い反発が予想され、連邦政府も議会での苦戦を覚悟しているという。24日付現地紙が報じている。
現行憲法では、州は歳入の12%を保健部門、25%を教育部門、市は15%を保健、25%を教育に割くことが義務付けられている。
それは国も同様で、2016年の財政支出上限法成立で、これらの部門に関しては、前年度の予算を1年間のインフレ率分引き上げることが義務付けられている。
ブラジルでの政治的動乱の発端ともいえる2013年6月のマニフェスタソン(抗議行動)の際、国民が強く求めたのが「教育と保健の充実」だったように、教育と保健の2部門の予算確保は最重要関心事の一つだ。
だが、ゲデス氏らは、各部門の最低限額が決められているために、実際には必要とされていない事業を行って限度額を満たそうとする可能性もあると考え、この枠を外すことを考えた。
ロドリゴ・マイア下院議長はこれに対し、「枠の撤廃は難しく、物議を醸すことは避けられない」との見解を示したため、ゲデス経済相をはじめとする連邦政府の経済スタッフは、保健と教育を合わせて37%(州)と40%(市)に変更することなどを考えている。
ゲデス氏らによると、各分野に必要な経費は自治体毎に異なるため、二つを合わせて何%と設定すれば、高齢者の多い自治体は保健への支出を増やすなど、実態に即した支出配分をしやすくなるという。ゲデス氏は、ブラジルが高齢化社会を迎えれば保健への支出はより多くなり、教育への支出は減るとも考えている。
経済スタッフは、分野ごとに限度額を定めるのではなく、必要なところに必要なものを支出できるような柔軟性のある制度が必要と考えている。それはテメル政権時代の経済スタッフも求めていたという。同氏は、予算に柔軟性を持たせれば、年間の財政支出を370億レアル分削減できるとも考えている。
教育費や保健費に関するPECは、社会保障制度改革の審議後に議会に提出する予定の四つのPECに含まれている。
四つのPECは29日に正式に下院に提出される見込みだ。四つの内の三つは財政や予算に関するもので、教育や保健の最低限度枠に関する項目や州や市への資金を増やすことなどを含む「連邦協定」と呼ばれる。四つ目は、昇進なども含む公的サービスの変更を定める「運営改革」だ。
ゲデス氏は、これら四つのPECの他に、財政支出削減を視野に入れた政策案や、ボルソナロ大統領が却下した旧小切手税(CPMF)に代わる税収模索も含む税制改革案の検討も望んでいる。