ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》最高裁刑執行投票=ローザ判事が判断覆す=2審有罪での刑執行認めず=現状では執行派が1票リードも=審理の続きは11月に

《ブラジル》最高裁刑執行投票=ローザ判事が判断覆す=2審有罪での刑執行認めず=現状では執行派が1票リードも=審理の続きは11月に

ローザ・ウェベル判事(Roberto Jayme/Ascom/TSE)

 「2審有罪判決での刑執行か否か」を問う最高裁での審理は、23日から具体的な投票がはじまった。24日が終った時点では4対3で「刑執行」が上回っているが、18年4月に行われた「ルーラ元大統領に人身保護令適用か」の判断では「適用しない」に票を投じたローザ・ウェベル判事が、「2審の段階では刑は執行しない」に回ったことで、審理の行方がわからなくなっている。25日付現地紙が報じている。

 同件の審理の報告官はマルコ・アウレーリオ判事で、23日の投票は同判事の票からはじまった。かねてから、憲法が定める「被告が控訴できなくなった場合に刑執行」を唱えている同判事は「執行できない」との判断を下した。
 だが、アレッシャンドレ・モラエス、同裁でのラヴァ・ジャット作戦担当判事のエジソン・ファキン、そしてルイス・ロベルト・バローゾの3人の判事が「2審で有罪」としてアウレーリオ判事に反対し、23日の審理が終った。
 だが、24日の審理では、ローザ判事が「憲法を書き換えるようなことはあってはならない」として、2審での執行に反対する票を投じた。
 同判事の投票はかねてから注目されていた。それは18年4月のルーラ氏の刑執行は同判事の一票で決まっていたためだ。ローザ判事は元々は憲法遵守派で、2016年に同件で審理した際は反対していたが、ルーラ氏の裁判では「16年に決まった判例を2年間では変えられない」との理由で、ルーラ氏への人身保護令を認めなかった。
 今回の事前予想では、「11人中10人の判事はルーラ氏の審理のときと同じ結果を出すだろう」と見られており、ローザ氏だけが票が読めないとされていた。ローザ氏以外では、「5票対5票」で互角だったため、「2審での刑執行否定派が有利になった」との見方も出てきている。
 ローザ判事の後は、ルイス・フクス判事が2審で有罪後の刑執行に賛成票を投じたが、同日の最後となったリカルド・レヴァンドウスキー判事は2審後の刑執行に反対。現状では、4対3で「2審後に刑執行」がリードしている。
 同件の審理の続きは11月6日、もしくは7日に行われる見込みだ。
 残った4判事は、カルメン・ルシア判事がルーラ氏の件の際は人身保護令適用に反対。セウソ・デ・メロ、ジウマール・メンデス両判事と、ジアス・トフォリ長官は賛成票を投じている。
 ただ、トフォリ長官の判断では、「3審有罪で刑執行」のため、今後の審理で3審後の刑執行が認められた場合は、高等裁でも有罪となっているルーラ氏には有利にならない。