【既報関連】8月30日から続くブラジル北東部への原油漂着に関連し、リカルド・サレス環境相が24日、国際環境NGO(非政府団体)のグリーンピースが関与している可能性があるとツイッターで攻撃し、下院議長から批判を受けたと24、25日付現地紙、サイトが報じた。
グリーンピースは23日に大統領府前で、北東部での原油汚染やアマゾンの森林火災に対する政府の対応の遅れを指摘する抗議行動を行い、サレス氏から「海岸や海洋の掃除を手伝いもせず、公共資産を損傷した」と批判を浴びたばかりだ。
環境相は24日午後、「北東部への原油漂着が起きている時期にグリーンピースの船がブラジル沖を航行していた」とし、同団体の関与を疑わせるツイッターを流し、環境犯罪に抗議するキャンペーン用のエスペランサ号の写真も掲載した。
これに対し、グリーンピースは同日、「北東部の原油汚染を解決する能力がない事をカモフラージュするため」「証拠もないのに我々を犯罪者に仕立てた」とし、サレス氏を訴える意向を表明。同団体の司法部門が状況分析に入る見込みだ。
同団体は海洋保護を訴え、8~9月にフランス領ギアナを通過。書類上の手続きと「アマゾンのサンゴ」と呼ばれる岩礁の調査を行った。エスペランサ号はウルグアイのモンテビデオに停泊中だが、サレス氏が使った写真は数年前のものだ。
サレス氏のツイッター後、ロドリゴ・マイア下院議長は同氏の公式見解を求めたが、同氏は「グリーンピースの船はベネズエラ産原油が漂着していた時期にブラジル沖を航行した事を認めたが、地上にいるメンバー同様、手伝おうとはしなかった」と返答。マイア氏はこれを受け、「返信を感謝するが、貴君のツイッターは無用な推論に過ぎない」と批判した。
サレス氏は週末も、グリーンピースのメンバーが原油回収の難しさを語る部分だけを編集し直したビデオを流し、「北東部の海岸清掃を手伝わない理由を説明した」とコメント。グリーンピースはその直後、清掃に参加している様子も映した編集前のビデオを流し、同氏の言動を批判した。
北東部への原油漂着は25日も続き、ペルナンブコ州レシフェ近郊やバイア州南部のイリェウスでも新たな原油漂着を確認。原油汚染はサンゴ礁にも及び始めている。
今回の原油汚染は国際的にも稀な規模の環境破壊で、衛星写真の解析や海上の旋回飛行、海岸の監視活動などが続けられているが、原油流出源は特定出来ていない。24日開設のサイトhttps://www.gov.br/manchanolitoral/では現状報告なども行われているが、対応の遅れは否めない。