【既報関連】チリで起こっているピニェラ政権に対しての民衆デモは10日を超えても、収束のメドが立っていない。首都サンチアゴでは25日に100万人を超えるデモ行進を記録し、ピニェラ大統領が閣僚総辞職を求めるなど、混乱が続いている。26日付ブラジル国内紙などが報じている。
デモ8日目を迎えた25日は、同国最大の抗議集会の地として知られるサンチアゴ市のイタリア広場を中心に行進が行われ、参加者が120万人を超えた。同市の人口は560万人のため、市内外からのデモ参加者が同市人口の20%以上に達したことを意味する。
この行進は、1990年にピノチェト軍事独裁政権が終了して以来、最大の規模となった。この日は同国の他の地域でもデモ行進が起きている。
チリは南米でも経済的に最も安定した国といわれる一方、社会格差も大きな国として知られていた。同国では、総人口の0・1%を占める最裕福層が同国の全資産の23・7%を牛耳っているといわれている。
現在の大統領のピニェラ氏は財界出身で、2018年から2度目の任期に就いたが、現政権の福祉政策がさらに国民を苦しめたとして不評を買っていた。同国の福祉政策の中核をなす社会保障制度は、ブラジルの社会保障制度改革においてゲデス経済相が参考にしたものでもある。
ピニェラ大統領はデモの序盤で年金支払額の20%増を宣言したが、効果がなかった。
地下鉄の料金値上げを契機として始まった抗議行動が収束しない中、26日には、同大統領が閣僚全員に辞職を求める事態にまで至っている。
また、今回のデモでは、6千人以上の逮捕者と18人の死者が記録されているが、政府が派遣した軍隊の国民への武力行使も問題視され、国連が人権侵害で捜査に乗り出そうとしている。
ピニェラ大統領は27日、非常事態宣言も解き、軍隊を退去させている。