2017年のサンパウロ倫理法人会設立に続いて、19日には「カンピーナス倫理法人会」の設立記念式典が同市内のホテルで午前10時から開催され、約80人が出席した。1州に2法人会ができることから「サンパウロ州倫理法人会」も同時に設立され、両新団体の会長には須郷清孝氏が就任した。米国からは当日、倫理研究所の研究員の伏木久登(ひさと)さん、カリフォルニア州倫理法人会の飯田隆会長、ロサンゼルス倫理法人会の山本明美会長、一般社団法人「倫理研究所」本部からは国際部門担当常任理事の内田文朗(ふみお)氏が慶祝に駆けつけた。
両国歌が斉唱され、マリア・マダレーナ監査からカンピーナス法人会設立が昨年8月から本格化した経緯が説明された。
サンパウロ州倫理法人会の認可証と行動旗が、内田常任理事から須郷会長に手渡された。続いて、カンピーナス倫理法人会の分も手渡された。両団体の役員にも任命状が一人一人手渡された。
伏木研究員は「今日から本格的な活動の始まり。共存共栄の精神にのっとり、ブラジル社会の発展に貢献されることを願ってやみません」との祝辞をおくった。
サンパウロ州工業センター(CIESP)アメリカーナ支部のカルロス・フレデリコ・ファエ会長は「人材育成が何よりも最優先される。倫理ある法人のふるまいを学び、利益を地域に還元して」と語った。
本部の丸山敏秋理事長からの祝電が紹介され、「貴会が倫理経営をもってブラジル社会に貢献する会に成長していくことを願ってやみません」と読み上げられた。
須郷会長から謝辞として19年前に始まった運動を振りかえり、「これからは州全体にもこの教えを広げていきたい。会員それぞれが人格を磨き、家庭には愛を、職場には喜働の精神を伝え、社会に貢献していきます」と宣言した。
最後に、本部の内田常任理事が「繁栄の法則」記念講演を行った。日本国内で6万9千社が学ぶ同研究所の中には、1万6千人もの死者を出した東日本大震災で被災した加盟社も。「山形県のホテルに宿泊していたが、ドーンという大きな音にすごい揺れが襲われ、建物がミシミシと音を立て、『これで終わりか』と思った」と振り返る。
宮城県仙台市の「菓匠三全」社は銘菓「萩の月」を生産販売することで知られるが、自ら被災しながらも「寒さに苦しむ避難者に、せめて甘いお菓子を」と社員総出で23万個を避難所に無料で配った。内田常任理事は「短期的には損をしたかもしれないが、被災者にとっては生涯忘れられない味になり、商品価値は何百倍にもなった」と称賛、地域貢献のモデルとして紹介した。
診療所を経営する医師・谷口フラビオさん(37、三世、サンパウロ市在住)は「友人に誘われ、1月から勉強会に参加している。父が話していた考え方に似ている。我々日系人が受け継ぐべき思想であり、ブラジル社会に良い指針を与えてくれる」と高く評価した。
レストランの会場を移した祝賀会では、地元紙コレイオ・ポプラル新聞社のマリオ・ルーベン・カントゥジオ・セグラド氏が社長の代理として「激動期にあるブラジル政界において、最も必要とされているのが倫理。どの企業にも守るべき規範があるべきで、我々も新聞社としてしっかりと監視していく」と語り、加州法人会の飯田会長が乾杯の音頭を取って和やかに会食した。
関心のある人は同研究所(rinribrasil17@gmail.com)まで連絡を。