バチカン市国で開催されていた「アマゾンに関する教会会議」が27日に終り、フランシスコ法王が「アマゾンはあらゆる種類の不当行為によって苦しんでいる」と語ったと26~28日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
6日に始まった教会会議(司教会議)は、国土の一部にアマゾンの熱帯雨林を有する九つの国の代表者らが集まり、宣教のあり方や文化、政治、経済などについても話し合った。また、法王は会議中、「アマゾンは苦しんでいる」「過去の失敗は、他者から掠め取り、我々の兄弟であり姉妹である大地を傷つける事を止めるには不充分だった」「暴力と略奪が続いている事は変形したアマゾンの顔が示している」などと語った。
法王は会議の間、先住民の大切さを強調してきた。それは、先住民保護区の制定を擁護する枢機卿の発言や、先住民の文化や習慣なども加味した宗教儀式のあり方の工夫などに関する文面が声明に盛り込まれただけの事ではない。法王はローマ教皇庁にアマゾン問題を取り扱う部署を新設する意向も表明しており、今後は具体的な働きの内容などの協議が始まる。
法王が述べた「アマゾンは苦しんでいる」という言葉には、先住民達が持つアマゾン特有の生活や文化の破壊、人身売買も含むあらゆるレベルの開発行為なども含まれ、環境破壊も犯罪扱いするべき事が声明に盛り込まれた。今回の会議で話し合われ、採択された声明は、今年中に法王が分析し、「教会会議後の使徒的勧め」と題する文書の形で公表される。
ブラジルのボルソナロ大統領は、水資源やエネルギーの開発・利用、先住民保護区内の鉱物資源の開発・採掘、調査などの目的のための開発行為などを合法化するための法案整備を進めており、年内に議会に提出する意向だ。このため、政権内では今回の会議がアマゾンの開発やブラジルの主権についてどのような声明を出すかを懸念していた。
今回の会議に参加した先住民達は一様に、カトリック教会が先住民やその伝統文化、習慣、土地といったものを保護すべきとの姿勢を明確に打ち出した事が、先住民保護区の開発などに関する現政権の方針にも何らかのインパクトを与える事を期待している。
アマゾンで奉仕している宣教師や司教達は、先住民達が自分達の主権、文化などを守るため、近代社会との接触を避け、より奥地へと移動する事なども知っており、先住民の権利を守るために地域教会が政府と対峙すべき事なども明確に訴えている。
なお、アマゾン域内の住民が信仰生活を守り、宗教儀式に参加出来るよう、辺境地域に限っては既婚者男性に聖職者の働きを認める事なども話し合われた。また、女性の働きに関する話し合いの継続も確認された。