2018年3月14日にマリエレ・フランコ元リオ市議と運転手のアンデルソン・ゴメス氏が殺害された事件の捜査線上に、ボルソナロ大統領の名が浮上していたことが29日に明らかになった。これは、殺害実行グループの一人が犯行の数時間前にボルソナロ氏を訪ね、許可を得てコンドミニオに入っていたことが明らかになったためだ。30日付現地紙が報じている。
今回の件は29日夜、グローボ局のニュース「ジョルナル・ナシオナル」が報じて明らかとなった。これは、ボルソナロ氏の自宅があるコンドミニオの門番(入り口の受付担当)が警察に対して行った証言に基づいている。
それによると、エウシオ・ケイロス容疑者は18年3月14日の午後5時10分、当時、下院議員だったボルソナロ氏の住む「58番」を訪ねたという。門番が58番に連絡をとったところ、「ボルソナロ氏本人が出て、入ることを許可した」ため、同容疑者は中に入った。だが、入場後は58番に行かず、66番に向かったため、58番に確認したら、「行き先は知っている」と応えたという。同容疑者は事件当日、市議らを襲撃した車を運転していたとされている。
66番はマリエレ市議ら殺害の実行犯とされるロニー・レッサ容疑者が住んでいた家で、同容疑者が大統領と同じコンドミニオ内で暮らしていたことは、今年3月の逮捕時にも報じられていた。
門番が警察に提出した車の入場記録では、「ルノー・ローガンAG―8202」が「58番」を訪ねたことになっている。この車種はマリエレ氏の殺害に使われた車種と一致している。事件はこの日の午後9時30分に起きた。
ボルソナロ氏は同日、下院の審議に参加しており、ブラジリアにいたはずだが、門番は(不在のはずの)ボルソナロ氏が対応したと2度、供述した。ボルソナロ氏の自宅にいた別人が対応したのか、近年はかなり普及しているインターフォンが携帯電話に直接つながる技術を使ったのかなど、憶測が流れている。
ボルソナロ氏は中東外遊でサウジアラビアにいたが、現地時間の30日未明(ブラジリア時間29日夜11時頃)にネットの動画配信で今回の件に関する釈明を行った。
大統領は憤りを隠すことができずに、「TVグローボは悪党だ! 卑怯な振る舞いだ」と声を荒げて語り、リオ州のウィルソン・ヴィッツェル州知事も批判した。
ボルソナロ氏によると、同氏は今月9日にヴィッツェル氏から、「マリエレ事件の捜査が最高裁に回るかもしれない。門番が警察での事情聴取であなたの名前を出していた」と聞かされていたという。ボルソナロ氏は「ヴィッツェル氏が情報を洩らした」と言って責めた。
また、ボルソナロ氏は今回の報道では名前の挙がっていない息子たちに疑惑が降りかかることまで懸念し、感情的になって「私の息子たちが逮捕されるのが見たいというのか」とも発言した。